研究課題/領域番号 |
24890291
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
清水 健史 生理学研究所, 分子生理研究系, 助教 (60398237)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | グリア細胞 / オリゴデンドロサイト / ミエリン |
研究概要 |
コレステロール合成酵素欠損マウスの固定脳をドイツのマックスプランク研究所から受け取り、オリゴデンドロサイト一細胞あたりの突起の数を測定したところ突起の減少が認められた。 ミエリン形成過程においては、オリゴデンドロサイトが局在する細胞外環境が重要な役割を果たすことが知られている。近年、液性因子のみならず、機械的刺激に応答して活性化される化学的シグナルによって各種細胞の性質が制御されることが報告されており、ミエリン形成に関与する外的環境の一つとして機械的な刺激(メカニカルストレス)に着目した。この課題に取り組むために、機械的刺激を感受し細胞内の化学シグナルへ変換するメカノセンサーに注目した。凍結切片in situ hybridization法により、複数個のメカノセンサーの発現をオリゴデンドロサイトで検出した。メカノセンサーとして機能する因子をラット培養オリゴデンドロサイト前駆細胞において特異的に阻害した結果、オリゴデンドロサイト細胞の形態変化と、オリゴデンドロサイト-ニューロン共培養におけるミエリン形成効率に変化が見られた。 これまでに、脱髄がおこったマウス脊髄のニューロンにおいて、non canonical Wntシグナルが活性化されることを見出した。この脱髄マウス脊髄におけるWntシグナルの活性化は、ミクログリア細胞に隣接して特異的に認められることも見出している。このことから免疫作用により活性化されたミクログリアが脊髄ニューロンに作用してWntシグナルを活性化したと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全てのテーマで、それぞれポジティブな結果がでている。当該研究室に異動してきた後のスタートアップ、立ち上げに要した時間も考慮すると順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
コレステロール制限マウスをドイツのマックスプランク研究所から受け取り、詳細に解析する。 またオリゴデンドロサイト細胞をストレッチマシンにより伸展刺激し、シグナル経路の変化を調べる。 脊髄ニューロンとミクログリアの共培養を行い、non canonical Wnt経路の活性化におけるミクログリアの関与を解析する。またnon canonical Wnt経路を抑制したマウスに対して、MOG-EAE注入により脱髄を誘導しin vivoで解析する。
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