コレステロール合成酵素欠損マウスの固定脳をドイツのマックスプランク研究所から受け取り、オリゴデンドロサイト一細胞あたりの突起の数を測定したところ突起の減少が認められたため、より詳細な解析を行うために当該コレステロール合成酵素欠損マウスを岡崎動物実験センターに輸送、導入した。今後、マウス組織切片を作成し、生体内での解析を行う予定である。 機械的刺激を感受し細胞内の化学シグナルへ変換するメカノセンサーに注目し、凍結切片in situ hybridization法により複数個のメカノセンサーの発現をミエリン形成期のオリゴデンドロサイトで検出した。メカノセンサーとして機能する因子をラット培養オリゴデンドロサイト前駆細胞において特異的に阻害した結果、オリゴデンドロサイト細胞の形態変化と、オリゴデンドロサイト-ニューロン共培養におけるミエリン形成効率に変化が見られた。実際にオリゴデンドロサイトに機械刺激を加えたところ、それらメカノセンサーの活性化が認められた。現在、それらメカノセンサーのノックアウトマウスの作成を行っているところである。 これまでに、脱髄がおこったマウス脊髄のニューロンにおいて、non canonical Wntシグナルが活性化されることを見出している。この脱髄マウス脊髄におけるWntシグナルの活性化は、ミクログリア細胞に隣接して特異的に認められることに着目し、免疫作用を受けたミクログリアが脊髄ニューロンに作用して活性化される細胞内シグナル経路を詳細に解析した。
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