タウ蛋白質の凝集形成は、アルツハイマー病 (AD)原因因子の一つであると考えられている。本計画で私は、膜脂質によるタウ凝集制御モデルを提案し検証に取り組んだ。 タウと脂質二重膜の相互作用を検証した結果、タウが特異的に結合する膜脂質成分X1を同定した。さらに、タウの脂質結合領域を同定し、結合の仕組みを明らかにした。脂質によるタウ凝集誘導を検証した結果、X1がタウの凝集形成を抑制することを明らかにした。興味深いことに、膜脂質成分X1がAD患者で減少していることが複数の研究グループから報告されている。以上は、脂質の代謝異常がタウの病変を介して神経変性に至るというAD進行モデルの可能性を示している。
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