研究概要 |
研究目的 寒冷地で斜面の表層が崩壊する事例が報告されている。これに役立てるために、地盤が凍結(凍上)・融解してせん断変形する様子を室内で実験的に再現している。凍上を起こさせるアイスレンズ(レンズ状の氷晶体)を一面せん断試験機内の試料土に均等な層状に生成するため、サーマルショック法にて過冷却状態を回避して氷核の形成をする。これは試料土の下端面の温度を一旦急激に低下(従来の実験での流入温度-12℃・-20℃)させて、氷核を形成するものである。その後、直ちに0℃付近に温度を戻すこの過程では、温度制御を中断して手動操作に約1時間を要している。この一連の操作を短縮して手動による不安定な操作を軽減する。これにより氷核を安定して形成させて、試験の効率化と再現性を高める。 研究方法 試料土の上・下端面へ2台の低温恒温槽内で温度調節した冷媒を独立に循環させて温度制御している。プログラム低温恒温槽をこの下端面に組み換え、温度精度の向上を図り、従来の低温恒温槽はサーマルショックを与える専用とする。これでサーマルショックを与える槽内の温度調整に掛かる時間を省略する。この槽内の温度を-10℃~-20℃で行なったものより選定し、凍結(凍上)・融解を与えた、定圧一面せん断にて再現性を確認する。 研究成果 上記の方法により、低下(-10,-12,-16,-18,-20℃)維持させた冷媒を瞬時に流入させることが可能となり、0℃付近に温度を戻す時間も含めて15分程度に短縮された。この個々に与えた温度変化は揃っていて、作業効率も良く同等である。これにより定圧一面せん断試験時のサーマルショックは個々の温度について実施することとした。せん断応力の結果の再現性の傾向も確かめられ、サーマルショックを与えて0℃付近に温度を戻すこの過程が安定的に短縮され、試験の効率化が図られ、手動操作も省かれた。
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