| 研究課題/領域番号 |
24H00319
|
| 研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
加藤 和利 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (10563827)
|
| 研究分担者 |
前田 辰郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究主幹 (40357984)
西谷 智博 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 客員准教授 (40391320)
本田 善央 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (60362274)
三上 裕也 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (80943662)
|
| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2027-03-31
|
| キーワード | 真空光トランジスタ / フォトカソード / テラヘルツ波 |
| 研究実績の概要 |
本年度の研究は、当初計画に基づき各技術課題に着実に取り組み、いずれの項目においても概ね順調に進捗していると自己評価している。まず、真空光トランジスタの基盤技術となる微細空間形成プロセスについては、複数回の試作を通じてアノード‐ゲート間に安定したサブミクロン空間を形成するプロセスの再現性が確認され、構造的信頼性の向上が図られた。次に、フォトカソードの機能性表面に関しても、NEA状態の形成過程における表面処理条件の最適化が進み、光電流密度の安定化に繋がる知見を蓄積している。さらに、ゲート電圧による電子走行速度の変調が出力波形の位相に与える影響について、初期的な実証結果が得られ、デバイスとしての位相制御機構の有効性が示唆された。また、64素子アレー化に向けた配線・レイアウトの検討や、ビーム形成に向けた基礎的実験も開始されており、実用構造に近いスケールでの動作検証への足掛かりが得られている。これら一連の進展は、当初想定されていた技術的リスクを一定程度克服しつつあり、今後の統合的なシステム実証に向けて堅実なステップを踏んでいるものと判断している。
|
| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究は、当初計画した各技術項目に対して概ね予定通りの進捗が得られており、おおむね順調に推移していると自己評価している。特に、真空光トランジスタの基本構造の試作と初期的な動作確認に成功したことは大きな成果であり、真空中での電子走行に関する物理モデルの妥当性を支持する結果となった。また、フォトカソードの機能性表面形成技術においても、安定した光電流特性の再現が可能となり、デバイス実装への目処が立ちつつある。さらに、位相制御の基礎原理を示す実験的データも得られており、アレー集積に向けた素子単体の信頼性向上にも進展が見られる。これらの成果は、当初想定した技術的リスクを克服しつつあることを示しており、全体として研究の方向性と技術基盤が確実に整いつつあることから、順調な進捗であると判断している。
|
| 今後の研究の推進方策 |
本年度の成果を踏まえ、次年度以降は真空光トランジスタの実用的な動作実証に向けて、以下の方針で研究を推進する。第一に、真空構造の形成精度と再現性を高めるため、微細加工プロセスの最適化を図る。特にアノード-ゲート間の空間制御と、フォトカソードの表面処理工程の一貫化を進め、デバイス試作の歩留まり向上を目指す。第二に、電子走行速度の制御とそれに伴うテラヘルツ波の位相制御機構について、実験的な知見の蓄積と物理モデルの精緻化を両立させる。ゲート電圧に応じた電子軌道の変化がデバイス出力に与える影響を定量的に評価し、位相制御の安定性向上を図る。第三に、アレー集積によるビーム形成においては、素子間の電気的・光学的な整合性を高めるため、配線設計とドライバ回路の改良を進め、空間的な干渉を抑えたビーム制御技術の実現を目指す。また、ビーム走査に必要な動的制御技術の導入に向けて、フェーズドアレイ制御手法との融合も検討する。最終的には、これらの基盤技術を応用システムに統合し、無線通信やセンシングにおける機能実証を行う。多分野の専門家による連携体制を維持しつつ、要素技術の成熟度と統合性のバランスを意識した研究推進を継続する。
|