• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2024 年度 実施状況報告書

水素由来の『硬化』に起因する脆化メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 24K01187
研究機関東北大学

研究代表者

小山 元道  東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (20722705)

研究分担者 武富 紳也  佐賀大学, 理工学部, 准教授 (20608096)
佐々木 大輔  久留米工業高等専門学校, 材料システム工学科, 准教授 (50772498)
奥山 彫夢  木更津工業高等専門学校, 電子制御工学科, 准教授 (50804655)
研究期間 (年度) 2024-04-01 – 2027-03-31
キーワード水素脆化 / 転位運動 / 電子チャネリングコントラスト / 固溶強化 / 空孔
研究実績の概要

固溶化熱処理を施したNi基FCC合金を対象に、水素の有無によってホールペッチ係数を調査することで転位-粒界-水素の相互作用を間接的に解析し、粒界における局所応力発達の影響をマクロな視点から理解した。より具体的には、よく報告されている水素による固溶強化により降伏強度の上昇は確認されたものの、水素によりホールペッチ係数は変化せず、水素は粒界-転位相互作用にはほとんど影響しないことが明らかとなった。つまり、Ni合金では水素はあくまで粒界強度に影響しており、転位パイルアップへの影響はほか合金元素の影響にくらべて無視できる程度であると結論づけられた。同様に純Niでもホールペッチ係数に影響を与えなかったが、合金と異なる点として、転位-転位間相互作用に水素は大きな影響を与えた結果と考えられる著しい加工硬化率の増大が確認された。これはNiの水素拡散係数が合金より低いことなどに起因した水素による転位のピニング効果やソリュートドラッグによるものと考えるが、合金化されると拡散係数が著しく低下するため、Ni合金、双晶などの転位集団運動が誘起されない限りは、ほとんど応力ひずみ応答に影響を与えないと考えられる。結晶塑性有限要素法を用いた空孔密度解析を空孔の拡散係数を現実的な範囲で変化させることで計算した結果、空孔密度発達に有意なひずみ速度依存性が見られ、空孔に由来した水素脆化機構を知る上で重要な知見になると期待される。このため、空孔拡散速度への水素の影響を計算することも進めている。

現在までの達成度
現在までの達成度

2: おおむね順調に進展している

理由

種々なFCC合金の試料準備ならびに硬化挙動の引張試験による評価を行うと共に、空孔拡散係数の計算および空孔密度分布の計算について、その基礎的解析を終えた。これらは当初予定していた計画通りであり、概ね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

本テーマでは水素拡散挙動および粒界破壊挙動が一つ重要な鍵であるので転位-水素相互作用に加えて、水素拡散係数の測定や粒界き裂の結晶学的解析もすすめることで、現在議論している内容の精緻化をすすめる。また、実験的な観点から、現在はFCC合金を対象としているが、水素による硬化と脆化挙動の解析をBCCに展開する。特に、水素-転位相互作用による硬化・脆化に対するひずみ速度依存性の理解につながる実験を行う。
計算的側面では、空孔密度計算について空孔拡散速度の変化により有意な変化が認められたので、この視点を深堀する。特に、水素により空孔拡散係数が低下することが知られるので、水素による空孔拡散係数を計算的手法を求めつつ、その得られた拡散係数の範囲で空孔密度計算をすることで水素脆化のひずみ速度依存性が理解できないか努める。

次年度使用額が生じた理由

佐賀大学(武富):計画していた解析に既設の計算機システムを利用できたこともあり,消耗品などの支出が必要でなかった.一方で2025年度に開催される国際会議に出席することで研究のさらなる推進を計画しているが,旅費が高騰しているためそちらで活用する予定である.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2025 2024

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件、 招待講演 4件)

  • [雑誌論文] Hydrogen Effects on Hall-Petch Coefficient and Fracture Strength in Pure Ni and Ni-20Cr Alloy: A Macroscopic Insight of the Hydrogen Embrittlement Mechanism2025

    • 著者名/発表者名
      Koyama Motomichi、Tomatsu Kota、Kakinuma Hiroshi、Ajito Saya、Akiyama Eiji
    • 雑誌名

      Metallurgical and Materials Transactions A

      巻: 56 ページ: 771~777

    • DOI

      10.1007/s11661-025-07688-6

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Microscopic Strain Mapping: Functional Diversity and Their Demands2024

    • 著者名/発表者名
      Koyama Motomichi、Shimizu Kazuyuki、Ri Shien、Koga Norimitsu、Nishikawa Hideaki、Morikawa Tatsuya、Fudouzi Hiroshi
    • 雑誌名

      Journal of the Japan Institute of Metals and Materials

      巻: 88 ページ: 253~269

    • DOI

      10.2320/jinstmet.J202408

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Designing Hydrogen-Resistant High-Strength Alloys: Recent Demands and Solutions2025

    • 著者名/発表者名
      M. Koyama
    • 学会等名
      H2MSE
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Intense hydrogen-related acceleration of fatigue crack growth in high-strength steels: the mechanism and solution2025

    • 著者名/発表者名
      M. Koyama, T. Chen, Y. Ogawa
    • 学会等名
      TMS 2025
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Hydrogen embrittlement in metastable austenitic steels: Mechanism and alloy design2025

    • 著者名/発表者名
      M. Koyama, E. Akiyama
    • 学会等名
      ASTM Conference on Hydrogen in Materials
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Origins of deformation-induced hydrogen desorption in austenitic stainless steels in cryogenic temperature: Transformation and crack effects2024

    • 著者名/発表者名
      M. Koyama, K. Tokeshi, S. Ajito, E. Akiyama
    • 学会等名
      Oxford-EPRI Workshop in Hydrogen Embrittlement
    • 国際学会 / 招待講演

URL: 

公開日: 2025-12-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi