| 研究課題/領域番号 |
24K01408
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| 研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
中山 梓介 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究副主幹 (30758610)
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| 研究分担者 |
木村 敦 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究主幹 (30360423)
Thomsen Bo 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究職 (00834178)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| キーワード | 核データ / 熱中性子散乱則 / 中性子散乱実験 / 第一原理計算 / 次世代炉 |
| 研究実績の概要 |
実験については、黒鉛に対する中性子散乱実験のための準備を進めた。具体的には、J-PARCの中性子ビームライン四季でのビームタイムの公募に応募し、採択された。実験に必要な安全審査を進め、次年度の中頃に実験が実施できる見通しを得た。また、実験に必要な試料セル等の物品の選定・購入も進めた。黒鉛の次に行う予定である軽水に対する中性子散乱実験についても、加圧水型軽水炉の運転条件と同等の高温(約330℃)・高圧(約150気圧)に耐え得る試料セルの設計を検討した。 評価に関しては、実験が取得されるまでの間に行えることとして、本研究で軽水に対する熱中性子散乱則(以下、TSLと記す)の評価に使用する予定である、第一原理計算に基づいた分子動力学シミュレーションの予測精度を検証した。中性子散乱実験の実験値が比較的多く存在する常圧状態における沸点以下(常温~80℃程度)の条件において計算を行い、その結果を基に軽水のTSLを導出し、本手法の予測精度を検証した。既存の中性子散乱実験値との比較の結果、常圧での沸点以下の条件では、今回評価した軽水のTSLは、日本のJENDLや米国のENDF/Bといった現状の核反応データベースで使用されているTSLと同程度の高い予測精度を持つことが分かった。 また、黒鉛のTSL評価に関しては、2025年3月より、これまでに第一原理シミュレーションを用いた黒鉛のTSL評価に関して実績のある米国オークリッジ国立研究所との共同研究を開始した。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
実験に関しては、利用するビームラインを当初計画から変更したことやJ-PARCの運転トラブル等により、実施時期は当初計画よりもやや遅くなったものの、黒鉛の中性子散乱実験のためのビームタイムを獲得することができた。 評価に関しては、常温・常圧付近では今回評価した軽水のTSLの予測精度が既存のものと遜色ないことが分かったが、この結果には重要な意義がある。既存の核反応データベースに格納されているTSLは常温・常圧付近で最適化された経験的力場を用いた古典分子動力学シミュレーションに基づいて評価されている。その一方で、今回評価したTSLは第一原理計算に基づく機械学習ポテンシャルを用いた分子動力学シミュレーションに基づくものであり、温度や圧力条件に依らず一定の予測精度を持っていることが期待される。そのため、今回得られた結果は、経験的力場を用いたシミュレーションでは予測精度が落ちる可能性のある高温・高圧状態に対しても、今回の手法では高精度の予測が可能であることを期待させるものであると言える。 上記のように、実験・評価ともに研究を着実に進展させることができたため、おおむね順調に進展していると評価した。
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| 今後の研究の推進方策 |
実験については、今年度獲得したビームタイムを使用し、J-PARCの中性子ビームライン四季を用いて原子炉運転温度を含む複数の温度点で黒鉛に対する二重微分断面積を測定する。この二重微分断面積はTSLの評価に必要となる物理量である。また、黒鉛の次に実施する予定である軽水の中性子散乱実験については、実験で必要となる耐熱・耐圧試料セルを製作するとともにビームタイムの申請を行い、軽水炉運転条件と同等の高温・高圧状態における実験の準備を進めていく。 評価については、本年度に評価した常温付近の軽水のTSL について、炉心計算を用いた更なる検証を行う。本年度の検証では中性子散乱の実験値のみを用いていたが、評価したTSLを用いた炉心計算を行い、その結果を実験炉などでの臨界実験の結果と比較することで、別の角度からのTSL の更なる検証を行う。具体的には軽水TSL を既存のものから今回評価したものに変更した場合で、臨界実験値の予測精度がどのように変わるかを検証する。 さらに、今後J-PARC で実施予定の軽水炉運転条件における中性子散乱実験との比較対象となる、高温・高圧状態の軽水TSL を事前に評価する。実験に先がけ、次年度中に高温・高圧状態の軽水TSL を評価しておく。TSL 評価の際にはいくつかの交換相関汎関数に基づく機械学習ポテンシャルを使用した計算を行っておき、どの汎関数に基づく評価値が最も妥当であるかを実験値との比較から判断可能にしておく。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
既述の通り、黒鉛に対する中性子散乱実験の実施時期が当初計画よりもやや遅くなった。そのため、軽水に対する中性子散乱実験の実施時期も当初計画よりも後ろにずれ込むこととなった。これにより、軽水の中性子散乱実験に必要となる試料セルの製作を次年度に持ち越しため次年度使用が生じた。 次年度使用額は、当初計画通り軽水実験用の試料セルの作成に使用する。
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