| 研究課題/領域番号 |
24K01731
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| 研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
半田 裕一 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (20343957)
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| 研究分担者 |
足助 聡一郎 神戸大学, 農学研究科, 助教 (90882514)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2028-03-31
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| キーワード | コムギ / いもち病 / 抵抗性遺伝子 / 遺伝子進化 |
| 研究実績の概要 |
本研究では、日本のコムギ系統から見出された新規のコムギいもち病抵抗性遺伝子を単離・同定し、その機能を明らかにすることを目的としている。 第一に、バングラデシュにおける圃場試験および室内接種試験のいずれにおいても抵抗性を示した日本のコムギ系統R3の持つ新規コムギいもち病抵抗性遺伝子 RmgR3(仮称) のマッピングを行った。抵抗性系統R3と中度感受性系統C1との交配により得られたF2:3系統集団に、いもち病菌Br48を接種した結果、抵抗性ホモ接合型、ヘテロ接合型、感受性ホモ接合型の反応が概ね1:2:1の比率で分離した。RAD-seq法を用いてこれらのF2:3系統から得られたリードデータをコムギゲノムにアライメントし、SNPコールを実施した。その結果をもとに遺伝地図を作成したところ、RmgR3は第7A染色体短腕上に座乗することが示唆された。一方、遺伝子型が感受性ホモ接合型であるにもかかわらず、分離型の抵抗反応を示す系統が9系統観察された。このことから、本集団中には、RmgR3とは別の微弱な抵抗性を制御する遺伝子が分離している可能性が考えられ、当該遺伝子は中度感受性系統であるC1由来ではないかと推定した。これらの結果は、各抵抗性遺伝子の効果が中程度であった場合でも、複数の抵抗性遺伝子を集積することで、より強固なコムギいもち病抵抗性の発現が可能となることを示唆しており、育種上の有用性は高いと考えられた。 第二に、バングラデシュにおける圃場試験においてはR3に次ぐ抵抗性を示したものの、室内接種試験においては感受性を示した日本のコムギ系統R2について、その抵抗性源は何かを追求するため、抵抗性系統R2と中度感受性系統C1あるいは感受性系統C2との交配により得られたF2:3系統集団をバングラデシュの検定圃場に展開して、抵抗性検定を実施した。抵抗性の評価結果は次年度初めに得られる予定である。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
R3系統が保有するコムギいもち病抵抗性遺伝子が7A染色体上に座乗することを明らかにすることに成功した。また、中度の抵抗性反応を示す別の抵抗性遺伝子との集積効果に関する有望なデータも得られており、複数遺伝子の相互作用による抵抗性強化の可能性が示唆されている。さらに、R2系統に関する圃場試験も順調に進んでいることから。
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| 今後の研究の推進方策 |
新規抵抗性遺伝子RmgR3(仮称)の座乗領域を明らかにできたことを受け、R7年度は、その候補遺伝子の同定、供与コムギ品種の同定、および育種応用に向けた基盤整備を進める。また、R2系統の抵抗性については、バングラデシュ圃場での抵抗性評価データを得てから、R3と同様にF2:3系統集団を利用したマッピングを実施する。 (1) RmgR3のFine-mapping:RmgR3座乗領域のさらなる絞り込みを目的として、Fine-mappingを実施する。ロングリードシーケンサーによるR3のゲノム配列、RNA-seqデータを活用してマーカーを作成し、候補遺伝子の絞り込みを目指す。 (2) R3由来系統の育種系譜解析と抵抗性評価:R3の育種系譜に位置づけられるコムギ品種について、いもち病菌に対する反応を評価し、RmgR3の供与体を特定する。また、過去の品種改良過程におけるRmgR3の利用実態を明らかにする。 (3) 複数抵抗性遺伝子の集積系統の育成と評価;RmgR3、Rmg8、および2NS遺伝子を同時にヘテロで保有する系統の作出を完了しており、今後は(1)で得られるマーカーを活用してRmgR3の正確な選抜を行い、遺伝子の集積効果を検証する。 (4) RAD-seq法を用いてR2C1あるいはR2C2のF2:3系統から得られたリードデータをコムギゲノムにアライメントし、SNPコールを実施し、それをもとに遺伝地図作成やQTL解析を行う。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
物品費は当初計画かそれを上回る支出があったが、旅費あるいは人件費等の支出が少なかったことにより、結果として次年度使用額が生じた。次年度については、実験も順調に進んでおり、学会発表等も多く予定しているから、当初計画通りの使用となるものと見込んでいる。
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