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2024 年度 実施状況報告書

茎と根の音響放射の同時測定が可能なセンサの開発による植物体内水の動態評価

研究課題

研究課題/領域番号 24K01876
研究機関埼玉大学

研究代表者

蔭山 健介  埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (30272280)

研究分担者 深山 陽子  福島大学, 食農学類, 教授 (00502098)
小沢 聖  明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(客員研究員) (40360391)
岩崎 泰永  明治大学, 農場, 専任教授 (40500947)
研究期間 (年度) 2024-04-01 – 2027-03-31
キーワードアコースティック・エミッション / 夜の膨圧水移動 / サーカディアンリズム / トマト水疱症 / 植物体内の水分動態
研究実績の概要

ECSの絶縁電極に形成したPTFE膜をUVレーザにより0.02 mmまでのパターニングにより微細構造を制御することを検討したが,加工困難であることが判明し,CO2レーザとスリットを用いて微細な溝部とうね部の形成を試みた。その結果,従来よりもばらつきの少ない幅を有するうねと溝部を形成することができた。そして,低硬度のシリコーン樹脂シートをECSの受感部に接着することで,トマトの苗の茎にも密着可能なECSを製作できた。
開発したECSを用いて水耕ミニトマトの根基部,胚軸,茎でのAE測定を行った。その結果,茎では明期開始時にAE数のピークが認められたが,根基部では暗期開始時にAE数のピークが生じ,胚軸ではいずれのピークも認められた。これらの結果から,茎では蒸散の開始,根では根圧水の増加による植物体内の水分状態の急激な変化によりAEが生じたのではないかと推察される。
また,閉鎖型苗生産システムで播種2週間後の本葉2枚のトマト苗に,1で製作するプロトタイプのECSを装着してAEを測定したところ、検出数は少ないものの根と茎からAEを検出できた。そして,測定株数を増やしてAE測定を行い,茎と根のAE数の合計を比較したところ,茎と根ではAE発生挙動に差が認められ,根の方が暗期のAE数が多いことが分かった。一方,水泡症が生じた株でのAE測定も行ったが,株による水泡症の症状に大きな差が生じなかったため,AEと水泡症との関連は不明だった。
さらに,ハウス栽培トマトでのAE測定を検討した。ハウス内でのAEは,骨材の陰による短時間で頻繁な水ストレス緩和の影響を受けるため,デンドロメータによる茎径変化と比較には1時間の観測数が適していた。トマトとイチゴで,茎径で評価できない湿害による水ストレスをAEで評価できた。また,バイオスティミラント処理で根の発達を促進したトマト個体では,午後のAE数が減少した。

現在までの達成度
現在までの達成度

3: やや遅れている

理由

軟弱な茎に適したECSは開発できたが,根については今後開発する。茎と根でAE発生挙動に差が生じることを明らかにしたが,水泡症とAEとの関連は今後調査する。異なる条件での根圧水移動のAE特性については,トマトでは根にセンサ装着が容易だが,夜間のAE数が少ない一方,キャベツではこれと逆の関係であった。また,同一個体に複数の根系を持つサンプルを,トマトでは作れるがキャベツでは作れない。これらのことから,研究対象作物にキャベツを加えて両作物の利点を生かした実験を進めるべきことを認識した。

今後の研究の推進方策

さらに長期間使用可能な耐水性に優れるECSを製作する。そして,様々な太さの根に密着させて取り付けて根圧水移動に起因するAEを検出できる測定技術を開発する。
品種を含め水疱症が発生しやすい要素を網羅的に抽出するために,明暗周期,温度,湿度,光強度,土壌水分を変化させる環境条件とし,これら要素を組合せてAE特性と水疱症発生との関係を解析する。
ハウス栽培トマトでは当初の目的とおり,夜間の根のAEを解析し,裂果との関係を品種間差や栽培環境で実用的に評価する。また,夜間のAEが多いキャベツで根のAE測定法を改善して夜間の根のAE解析を容易にし,学術的なメカニズム解明を目指す。

次年度使用額が生じた理由

UVレーザの購入を予定していたが,目的を達成できないため,スリットCO2レーザを併用する方法に切り替えた。このため,今後多数のスリットを消耗品として購入が必要なため,そのための予算を翌年度に繰り越した。これらの対応で,アプリケーターの導入が遅れたため,こちらの予算も翌年度に繰り越した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2025 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Reduction of heat damage in cabbage by planting on the northern slope in ridge rows, and available hydro-characteristics of cultivars for use2025

    • 著者名/発表者名
      NINAGI Tomoko、OZAWA Kiyoshi、KIMURA Naoki
    • 雑誌名

      Climate in Biosphere

      巻: 25 ページ: 19~34

    • DOI

      10.2480/cib.J083

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 音響放射でとらえる作物反応2025

    • 著者名/発表者名
      小沢聖
    • 学会等名
      2025年日本農業気象学会全国大会
  • [学会発表] 茎での植物AE測定に用いるエレクレットセンサの取付方法の検討2024

    • 著者名/発表者名
      星 陽和大
    • 学会等名
      センサ・マイクロマシンと応用システムシンポジウム
  • [学会発表] 水噴霧時刻が閉鎖型苗生産システム内のトマト苗の水疱症発生に及ぼす影響2024

    • 著者名/発表者名
      志村春紀
    • 学会等名
      園芸学会2024年度秋季大会
  • [産業財産権] アタッチメント2024

    • 発明者名
      蔭山健介
    • 権利者名
      埼玉大学
    • 産業財産権種類
      実用新案
    • 産業財産権番号
      実願2024-003675

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公開日: 2025-12-26  

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