| 研究課題/領域番号 |
24K03236
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| 研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
田中 優子 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30701495)
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| 研究分担者 |
荒井 ひろみ 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, ユニットリーダー (20631782)
乾 健太郎 東北大学, 言語AI研究センター, 教授 (60272689)
犬塚 美輪 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50572880)
井関 龍太 大正大学, 人間学部, 准教授 (60436269)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2028-03-31
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| キーワード | 誤情報 / 訂正 / 選択的回避 / 二重過程理論 / 認知バイアス / 人間中心設計 |
| 研究実績の概要 |
本研究は,誤情報を信じる心理現象の認知的解明と,訂正情報の効果的伝達に向けた介入法の構築を目的とする。特に,デジタル環境で観察される「信念と合致しない訂正情報」への選択的回避行動について,二重過程理論(矛盾検出モデル)の枠組みから解明し,人間中心設計への応用を目指している。初年度の2024年度は,以下の2点を中心に研究を進めた。
まず,選択的回避行動について,二重過程理論の主要モデルをもとに理論的検討を行った。具体的には,矛盾検出モデルによれば「信念と合致しない訂正情報」に対しては矛盾が検出され,分析的処理が促進されるはずであるにもかかわらず,実際には多くの人々がこうした情報を回避する傾向がみられるという現象について,既存のモデルとの整合性を検討した。その結果,選択的回避行動が二重過程理論の枠組みでどのように説明可能か,理論的な課題や今後の検討の方向性を明らかにした。
次に,「信念と合致しない訂正情報」に対する選択的回避傾向が強い集団を対象とした介入実験の分析を行った。具体的には,熟慮の活性化を必要としないランキング介入と,熟慮の活性化を目的としたメタ認知的介入を比較し,これらが「信念と合致しない訂正情報」へのクリック行動と誤情報への信念変化に及ぼす効果を検証した。また,その結果を二重過程理論の観点からどのように説明できるかを検討した。研究成果は論文にまとめて投稿し,CHI Conference on Human Factors in Computing Systemsに採択された。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は初年度の計画に沿って順調に進展している。主な理由は以下の2点である。
第一に,理論的検討が計画通り実施された点があげられる。二重過程理論の矛盾検出モデルと選択的回避行動の関係性について,申請書で計画していた「ヒューリスティック処理から分析的処理への移行メカニズムの再検討」という課題に対し,既存文献の体系的整理を通じて理論的整合性の評価を完了した。特に,従来モデルが想定する「矛盾検出→分析的処理促進」という流れと,実際の選択的回避現象の乖離の要因を確認することができた。
第二に,実証研究の分析および学術的発信プロセスが予定を上回る水準で達成されたことがあげられる。信念と相反する訂正情報への選択的回避傾向が強い集団(fact-avoidance group)を対象に,ランキング介入(熟慮を必要としない手法)とメタ認知的介入(自己の認知プロセスを客観化させる手法)を比較する実験を実施した。実験データの分析結果は,ヒューマンコンピュータインタラクション分野の主要国際会議であるCHI Conference on Human Factors in Computing Systemsにフルペーパーとして採択された。
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| 今後の研究の推進方策 |
2025年度は,学術的発信と理論的統合の深化を二つの軸として研究を推進する。学術的発信においては,ヒューマンコンピュータインタラクション分野の主要国際会議であるCHI Conference on Human Factors in Computing Systemsでの口頭発表を実施するとともに,研究成果をオープンアクセス論文として公開し,学術コミュニティへの還元を図る。さらに,共同研究者との連携によりプレスリリースを発出し,一般社会に対しても研究成果の意義を広く伝える。
分析面では,2024年度に実施した介入実験の結果をより精緻に検討する。これまでの分析では介入手法の効果に焦点を当て,クリック数と信念変化への効果を分析したが,選択的回避傾向の背景にある認知メカニズムを解明するため,滞在時間や個人差等の分析を行う。二重過程理論の観点から実験結果をより詳細に分析することで,実証研究と理論構築の相互補完的な進展を目指す。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
今回の科研費については,前の科研課題(基盤研究(C)21K12605:誤情報持続効果が生じる認知メカニズムの解明とその抑制方法に関する実証研究)の研究を拡張・発展させるため,最終年度の前年度に応募し,採択されたものである。本研究課題を実施するにあたり,先行研究課題で既に収集していたデータの一部を本研究でも活用することができた。この結果,当初計画していたデータ収集や関連経費の一部支出が次年度に繰り越される形となった。次年度は,残額を用いて追加分析や新たな実証研究,学術発信等を計画的に実施する予定である。
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| 備考 |
研究成果に関するプレスリリース記事
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