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2024 年度 実施状況報告書

新しい協働の中での自律性とこれからの「自律的な働き方」の研究

研究課題

研究課題/領域番号 24K05023
研究機関関西大学

研究代表者

森田 雅也  関西大学, 社会学部, 教授 (40247896)

研究期間 (年度) 2024-04-01 – 2027-03-31
キーワード自律性 / 協働 / 自律的な働き方 / 裁量労働制 / キャリア自律
研究実績の概要

研究計画に掲げた通り、経営学、特に人的資源管理の領域における自律性の変遷の体系化に取り組むとともに他領域の自律性に関する研究を渉猟した。また、協働についても、バーナード(Barnard, C.I.)以降、同領域でそれがどのように捉えられてきたかを再検討した。同時に、自律的な働き方を推進している大企業2社、中小企業2社への聞き取り調査を行った。
その結果、自律的な働き方やキャリア自律が求められてきている中で、能動的に自律的に働く人たちが確かにいる一方、自律を強いられ、受動的に自律的に働いていると捉えられる人たちもかなりいることが窺え、熊沢誠がいう「強制された自発性」が表出形態を変えながら、今でも依然として認められると考えられた。
協働のあり方は、かつては部署内でメンバーが相互につながり、時間と空間を共有しながら、一緒に力を合わせて連携するという「面」での協働であった。しかし、今日では、メンバーは自分の役割だけを遂行することで無駄なく合理的ではあるが、メンバー間の相互作用が少なく、部下と上司のつながりを中心とした「線」での協働へと変わりつつあることが窺えた。また、多くの研究でも言われている、協働における組織市民行動の衰退が確認された。
各人がメリハリをつけて働くことで労働時間の短縮を図り、仕事が早く終わったときには早く帰宅して自分の時間を活用することは、現在目指されている自律的な働き方ではある。しかし、個人が自律的な働き方を進める中で、組織の生産性を維持・向上させる新しい協働が実現されていることは確認できていないし、その関係性を解き明かすには現時点では至っていない。
なお、2025年3月に日本労務学会第55回全国大会(2025年7月26、27日)の 自由論題に、「裁量労働制適用者には何が必要か ―上司行動と人事管理施策に着目して」の研究報告(共同報告)を申し込み、採択された。

現在までの達成度
現在までの達成度

3: やや遅れている

理由

当初予定では、2024年度中に調査委託会社を通じて、自律的な働き方を保障する制度のひとつである高度プロフェッショナル制度適用者への聞き取りを行うことを計画していた。しかし、2024年3月末時点での同制度の決議事業場数が30事業場、対象労働者数が1,340人と予想していたよりも伸びていなかったため、この聞き取り調査を見送った。
代わりに自律的な働き方を保障する制度(裁量労働制、フレックスタイム制度)のもとで働く労働者や、法的に保障されたものではないが、かなり裁量の度合いが高いテレワークを常態として働く労働者を対象とする聞き取り調査の実施を検討したが、年度内に行うことができなかった。こうしたことから、進捗状況を「やや遅れている」とした。

今後の研究の推進方策

まず、昨年度予定していたものの実施を見送った裁量の度合いが高い働き方をする労働者(裁量労働制、フレックスタイム制、常態的なテレワークの適用者)への聞き取り調査を、調査委託会社を通じて行う。同時に、そうした労働者を雇用し自律的な働き方を推進している企業への聞き取り調査も、2024年度に引き続き行っていく。
2024年度の研究で見いだされた、「能動的に自律的に働く人」と「受動的に自律的に働く人」について、「強制された自発性」概念を軸に、なぜ「受動的に自律的に働く人」が生まれているのかを探求する。この探求は、自律的な働き方を批判するためではなく、それがもつ負の側面を踏まえた上で、自律的な働き方が普及するための要件を明らかにしていくために行う。
また、協働のあり方に関しては、協働が「面」から「線」へと変わっている可能性が見いだされた点について、特に組織市民行動との関係を意識しながら、それによって何がどう変わったのかを引き続き検討していく。これらを通じて、協働という人とともに行う行為と、自律的行動という自分のことは自分で決めるという行為との新しい関係のあり方を追究していく。
これらについて2025年度中に論文にまとめ公刊するとともに、学会での報告を目指す。

次年度使用額が生じた理由

現在までの進捗状況でも示した通り、調査委託会社を通じて、自律的な働き方を保障する制度のひとつである高度プロフェッショナル制度適用者への聞き取りを行うことを計画(40万円を予定計上)していたが、それを見送ったために昨年度中に使用しきれない額が生じた。今後の研究の推進方策に記した通り、本年度、この調査を実施して使用する予定としている。
また、本年度分として以前より請求している分については、従来の計画通りに使用する予定である。

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公開日: 2025-12-26  

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