| 研究課題/領域番号 |
24K09658
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| 研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
安達 良太 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (00436057)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| キーワード | 軸索起始部 / 可塑性 / CDK5/p35 / 微小管 / 蝸牛神経核 |
| 研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、ニワトリの蝸牛神経核である大細胞核の神経細胞を用いて細胞ごとに異なる軸索起始部の長さの制御機構を明らかにすることで、軸索起始部可塑性の多様性を生み出す仕組みを解明することである。これまでの研究でCDK5/p35と微小管が軸索起始部長の変化に関わることを示している。そのため具体的には可塑的変化の際にCDK5/p35の活性と微小管の安定性がどのように協調して働いているのかを明らかにする。今年度はまず低音域の細胞におけるCDK5/p35活性レベルの軸索起始部の短縮に対する効果を調べた。ドミナントネガティヴCDK5、CDK5、p35をそれぞれ過剰発現する細胞の軸索起始部をin vivoで観察、その長さを計測した。その結果、高音域の細胞とは異なりどの条件においても軸索起始部長は変化しなかった。このことは軸索起始部の微小管等の構成分子が高音域の細胞とは異なる可能性を示唆している。 また、微小管安定性の軸索起始部短縮に対する効果を調べるにあたって、まずは微小管の可視化を試みた。まず抗アセチル化チューブリン抗体を用いた免疫染色を試みたが、神経細胞以外の細胞も染色され、神経軸索内での同定は困難であった。そこで、電気穿孔法により大細胞核神経細胞特異的にプラスミドを導入しチューブリンあるいはチューブリン結合タンパク質を過剰発現させることで、微小管の可視化を試みた。用いた分子の中で特に安定化チューブリンに結合するkif5bは軸索の中心部を走行する微小管を標識し、チロシン化チューブリンや微小管+端結合タンパク質であるEB1は細胞膜直下に局在するようなパターンが見られた。これらの実験系は、微小管の軸索起始部可塑性への関与を調べる上で、重要なツールであると考える。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
3: やや遅れている
理由
低周波数域の細胞において、CDK5/p35の軸索起始部に対する短縮効果が見られなかったことから、微小管等の構成分子が細胞ごとに異なることが考えられた。そこで微小管を可視化するために当初、抗アセチル化チューブリン抗体を用いた免疫染色をする予定であったが、動物種の違いか切片培養であるためか神経細胞に明確な染色像が得られなかった。そのためチューブリン過剰発現の系に切り替えた。この際にアセチル化/非アセチル化の変異体だけでなく、安定化チューブリンを可視化するkif5b変異体やチロシン化チューブリンを可視化するプラスミドを構築し、それらを用いることで、修飾の違いによる微小管の軸索内での分布の違いを見ることができた。 また、CRISPR/Cas9を利用したknock-in技術によりHaloTagを付加したアンキリンGを大細胞核神経細胞に導入、発現させることで、軸索起始部のライブイメージングに成功した。我々の系では軸索起始部長の変化に有意差が現れるまでに3日を要するが、HaloTagリガンド処理後3日を経ても同一の細胞でシグナルを観察することができた。 今年度は、これらの実験系を確立することができたので、来年度以降これらを駆使して軸索起始部の可塑性機序の解明を進めていきたい。
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| 今後の研究の推進方策 |
微小管を可視化するためのツールが揃ってきた。これらを使用することでCDK5/p35がどのように微小管を制御し、軸索起始部長を変化させるかを調べてゆく。まずはアセチル化/非アセチル化チューブリン、kif5b過剰発現で見られる安定化チューブリン、そしてチロシン化チューブリンの軸索起始部を含む軸索上での詳細な分布を解析し、大細胞核の高周波数域、低周波数域における細胞で違いが見られるかどうかを調べる。その後、CDK5/p35の過剰発現や阻害剤との組み合わせでそれぞれの修飾チューブリンの分布がどのように変化するか軸索起始部との関連を調べることで、軸索起始部の可塑性に対する微小管の影響を明らかにする。 また、HaloTagを用いることで軸索起始部のライブイメージングが可能になったので、軸索起始部長が変化する際のダイナミクスを解析したい。今までは軸索起始部長の変化の前後しか観察できておらず、構成分子が軸索起始部内のどこでどのように変化するのかがわからなかったが、ライブイメージングを行うことで軸索起始部内での分子の動きを知ることが期待できる。CDK5の阻害剤や、微小管の状態に作用するTaxolやNocodazoleと組み合わせることで、これらの分子の軸索起始部可塑性への関与の仕方がより詳細に理解できると考える。現在はアンキリンGを標的分子としているが、イオンチャネルや接着分子の動きをライブで見ることができれば、細胞骨格や膜タンパク質など、異なる分子ごとの軸索起始部の可塑性における挙動が理解できるかもしれない。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、軸索起始部構成分子を可視化するためのプラスミドのデザイン、構築が主なところであったため、このような形となった。可視化のための実験系が確立できたので、来年度以降は切片培養を用いた実験とin vivoにおける実験を進めていきたい。ライブイメージングに関しては、共通機器室に設置の共焦点顕微鏡使用料が発生するため、実験頻度が高くなれば使用量も増加すると思われる。
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