| 研究課題/領域番号 |
24K11514
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| 研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
蝶名林 和久 京都大学, 医学研究科, 助教 (00646010)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| キーワード | SLF1/2-SMC5/6経路 / Atelis症候群 / 遺伝性骨髄不全症候群 / 疾患特異的iPS細胞 / 骨髄性腫瘍 |
| 研究実績の概要 |
当初の研究計画に沿って、令和6年度に下記の進捗があった。
1)疾患特異的iPS細胞の作製および変異修復:SLF2遺伝子の両アリル病的バリアントを原因とするAtelis症候群-1(ATELS1)患者の末梢血単核細胞および不死化リンパ芽球様細胞株から、複数の疾患iPS細胞株を樹立する事に成功した。さらにisogenic control株として、CRISPR/Cas9を用いたゲノム編集により片アリルのSLF2変異を修復したiPS細胞を作製した。 2)疾患iPS細胞を用いたAtelis症候群の病態再現:疾患iPS細胞株および変異修復株を胚様体形成法による分化誘導系を用いて造血誘導し、造血幹前駆細胞分画(CD45+CD34+CD38+Lin-)でソートして分画をそろえた上で、GM-CSF、G-CSF、IL-3、IL-6、SCF、EPO存在下でコロニーアッセイを行った。その結果疾患iPS細胞株由来の造血幹前駆細胞では、赤芽球系・骨髄球系共にコロニー形成能が高度に障害されていることが証明され、本モデルを用いて造血不全の病態をin vitroで再現する事ができた。また、疾患iPS細胞由来の造血前駆細胞では、γH2AX免疫染色によりDNA損傷の亢進が認められ、細胞周期解析においてG2/M期での細胞周期停止が確認された。 3)疾患iPS細胞由来造血幹前駆細胞の網羅的遺伝子発現解析:疾患iPSおよび変異修復iPS細胞由来造血幹前駆細胞のRNAシークエンスを行い、網羅的に遺伝子発現パターンの比較ををGene Set Enrichment Analysis (GSEA)で行ったところ、疾患iPS細胞由来造血幹前駆細胞ではp53経路の活性化、細胞老化に関わる遺伝子群の発現上昇などを認めた。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
令和6年度は、上記のように、1)疾患特異的iPS細胞の作製および変異修復、2)疾患iPS細胞を用いたAtelis症候群の病態再現、3)疾患iPS細胞由来造血幹前駆細胞の網羅的遺伝子発現解析を計画していた。1)、2)、3)についてほぼ達成できた。 以上のように、当初検討していた実験計画に関しておおむね順調に進展していると考えている。
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| 今後の研究の推進方策 |
上記1)、2)、3)の課題を引き続いて行う。
4)Atelis症候群特異的原因因子の探索:3)で得られた網羅的遺伝子発現解析及びエピゲノム解析の結果と2)で得られた機能解析の結果とを組み合わせる事により、造血幹前駆細胞の分化異常やゲノム不安定性に関わる候補因子を絞り込む。
5)候補因子の機能解析:4)で同定した候補因子について、順次iPS細胞に導入もしくはノックダウン・ノックアウトを行った後に造血誘導し、2)のin vitro病態再現系を用いてAtelis症候群の造血障害の病態への影響を評価し、有望な標的因子に関して、市販の阻害剤などの探索を行う。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
令和6年度は、Atelis症候群患者から樹立した疾患特異的iPS細胞を用いた病態再現、RNAシークエンスによる疾患iPS細胞由来造血幹前駆細胞の網羅的遺伝子発現解析などを行った。病態再現においての顕著な表現型がみられたため、当初の予定よりも少ない株数において病態再現・網羅的遺伝子発現解析を行うことが可能であったため、細胞培養・分化誘導やシークエンス解析等のコストが当初予定より少なくなり、未使用額が生じた。 使用計画:次年度は、健常者iPS細胞株、白血病細胞株を用いて、レンチウイルスによるSLF2およびSMC5のノックダウンやCRISPR/Cas9によるノックアウトの実験を行う予定であり、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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