• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2024 年度 実施状況報告書

曝露チャンバーを用いた野外環境でのPM2.5の植物影響評価とその植物種間差の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24K15315
研究機関長崎大学

研究代表者

山口 真弘  長崎大学, 総合生産科学研究科(環境科学系), 准教授 (60736338)

研究期間 (年度) 2024-04-01 – 2027-03-31
キーワード微小粒子状物質(PM2.5) / 植物影響 / 曝露チャンバー / HEPAフィルター / PM2.5の葉面沈着量 / 野外環境
研究実績の概要

2024年度は、野外環境で植物にPM2.5を曝露するチャンバーの構築とPM2.5を除去するためのHEPAフィルターの検討を行った。
チャンバーの構造はこれまで大気汚染物質の植物影響評価に数多く利用されてきたオープントップチャンバーと同様とした。構築数は実験データの信頼性を十分確保しつつ、配分額に応じた規模である12基とした。それらのうちの2基にはPM2.5濃度測定機を1台ずつ設置し、HEPAフィルターによる除去率の算出に用いた。2台の測定機のPM2.5の測定値を補正するための並行試験は2024年12月1日~6日に実施し、補正式を得た(PM2.5の濃度範囲は2~38 μg/m3)。
植物に対するPM2.5の影響を調べるためには、野外空気からPM2.5を除去する適切なフィルターを用いる必要がある。そこで、事前に選定していたA社のHEPAフィルターをチャンバーに装着し、PM2.5の除去率を検討した。その結果、除去率は平均で45%であり、想定よりも低かった(2024年12月6日~17日, 野外のPM2.5濃度の範囲は1~17 μg/m3)。そこで、B社のHEPAフィルターを購入して除去率を検討した結果、平均で76%であった(2025年1月16日~21日, 野外のPM2.5濃度の範囲は3~35 μg/m3)。2024年12月19日~2025年1月6日に行った両者を同時に比較した試験でのチャンバー内の平均PM2.5濃度は、A社のフィルターでは2.7 μg/m3(最高値は24 μg/m3)であったが、B社のそれではその半分以下である1.1 μg/m3(最高値は11 μg/m3)であった。これらの結果から、B社のHEPAフィルターを装着することでチャンバー内のPM2.5濃度を十分低減させることができ、野外環境における植物に対するPM2.5の影響を明らかにすることができると考えられた。

現在までの達成度
現在までの達成度

3: やや遅れている

理由

野外環境で植物にPM2.5を曝露するチャンバーの構築は予定通り終わったが、事前に選定していたHEPAフィルターの除去率が想定よりも低く、他のフィルターの検討もする必要が生じ、当初は予定よりやや遅れている状況であった。一方、実績の概要に記載した通り、他のHEPAフィルターの検討を終え、そのフィルターを用いることでチャンバー内のPM2.5濃度を十分低減させることができたため、すでに植物に対するPM2.5の曝露試験を実施可能な状態である。降雨遮断装置は雨天時にチャンバー上部に傘を設置するだけであるため、今年度は当初よりもやや遅れたものの、今後予定している曝露実験は概ね計画通りに実施できると考えられる。

今後の研究の推進方策

今後は、植物に対するPM2.5の影響を調べるために、温室での曝露実験での報告例のあるコマツナとソラマメを対象とした曝露実験を行う予定である(2025年5~10月)。また、常緑広葉樹を対象とした曝露実験を2025年11月から開始する。落葉広葉樹を対象とした実験は2026年度に実施予定である(チャンバー内で同時に複数樹種栽培して並行して曝露実験を行う)。曝露実験期間中は、葉の純光合成速度などの生理機能や、気孔コンダクタンスや蒸散速度などの水分収支に関わる項目を測定し、曝露実験終了時には植物体の乾重量(成長量)と葉面に沈着したPM2.5(ブラックカーボン)の量を測定する。これらの測定により、植物の成長や生理機能に対するPM2.5の影響とその影響におよぼす降雨による洗い流しの緩和作用およびそれらの植物種間差を解明していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初使用予定であったHEPAフィルターの性能不足により、予定していなかった他のフィルターの検討をすることになった。また、植物の生理機能の測定に必須な機器の故障が発生し、その修理費用が必要になった。これらの支出を2024年度の交付額以内に収めるために、その他の経費を大幅に削減した結果、次年度使用額が生じた。次年度は、2024年度に実施できなかった測定等をするため、それらに必要な経費として支出する。

URL: 

公開日: 2025-12-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi