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2024 年度 実施状況報告書

研究データ利活用を促進する研究データ価値の伝達表現手法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 24K21055
研究機関大阪大学

研究代表者

甲斐 尚人  大阪大学, D3センター, 准教授 (90940148)

研究期間 (年度) 2024-04-01 – 2027-03-31
キーワード研究データ / データ論文 / メタデータ / キーワード抽出 / 自然言語処理
研究実績の概要

本研究では、研究データの価値をより的確に表現するためのキーワード抽出手法を提案することを目的とし、データに関する詳細な記述を行うデータ論文(a)と、従来型の学術論文(b)との比較分析を実施した。さらに、データ論文(a)を引用した複数の学術論文(c)を対象に分析を加え、研究データの実際の利活用においてどのような語が用いられているかを明らかにした。
具体的には、同一の研究者が執筆したデータ論文(a)と学術論文(b)を比較対象とし、内容的に関連性を持ちながらも記述の焦点が異なる2種類の文書から、それぞれの特徴的な語彙を抽出した。加えて、データ論文(a)を引用した複数の学術論文(c)を収集し、データ論文が引用される際に、どのような語が頻繁に使用されているのかを自然言語処理技術(TF-IDF)により分析した。
その結果、データ論文(a)に特有の語として、専門的用語が高いTF-IDF値を示した。これらは、従来の学術論文(b)ではあまり見られない語であり、これらの語の多くはデータ論文(a)のタイトルや要旨には記載されていなかったが、引用論文(c)の本文中では繰り返し登場していた。すなわち、実際にデータを再利用した研究では、これらの語がデータの有用性を示す鍵として機能している可能性がある。
これにより、データ(論文)におけるキーワード設定が、当該データの検索性、再利用性に寄与する可能性が示唆された。以上の結果から、データ論文のメタデータ設計において、実際の利用文脈に基づいたキーワード選定が重要であることを明らかにした。単にデータの概要を記述するのではなく、再利用時に有効とされる語をキーワードとして取り入れることで、論文の発見性と引用数の向上が期待される。本研究の成果は、研究データの公開やメタデータ整備の実務において具体的な指針を与えるものである。

現在までの達成度
現在までの達成度

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画において予定していた引用論文の追加分析については、分析対象とする論文群の選定作業において、対象データの網羅性と質を担保するために慎重な検討を重ねた結果、想定以上に時間を要している。当該分析は後期に実施を繰り越すこととした。
また、TF-IDFを用いた既存分析に加えて、Word2VecやBERTといった分散表現モデルを用いた比較分析の準備についても、必要な前処理や実験環境の構築にやや遅れが生じている。しかしながら、これらの手法に関する検討は継続的に行われており、後期において本格的に着手する計画である。
一方で、初期の成果については国際会議(EIDWT2025)にて発表を終えている点からも、研究体制は十分に維持されている。これまでに蓄積したデータや分析経験を活かし、今後の研究進展に向けた準備は着実に進んでいる。以上を踏まえると、計画の一部に若干の遅れは見られるものの、全体としては研究はおおむね順調に進行している。

今後の研究の推進方策

次年度以降は、語彙ベクトルによる意味的類似性評価(Word2Vec・BERTなど)を導入し、TF-IDFによる表層的な頻度分析との比較を行う。また、画像データや構造化データにおけるメタデータ設計への応用可能性を探る。さらに、研究成果をデータ管理実務に還元するため、教育プログラムへの展開や、国内外の研究データ公開ポリシーとの整合性も検討する。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた追加分析が、対象データの選定などで時間を要した。また研究成果の一部は国際会議(EIDWT2025)で発表済みであるが、上記の理由で購入予定であった分析用PCの購入がずれ込み、さらに購入PCで分析した結果を国内学会、国際会議で発表予定であったが、それができずに旅費・参加費による支出が減った。次年度は、解析用PCを購入した上で、今年度の成果をさらに進展させ、国際会議にて発表を行う。そのため、当初予定していなかったPC購入費と出張旅費が必要になった。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2025

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Study on Extracting Keywords that Reveal the Value of Research Data Through Comparisons Between Academic and Data Papers2025

    • 著者名/発表者名
      Kai Naoto、Tomisu Hayato、Shimbaru Toshiki、Yoshihisa Tomoki
    • 雑誌名

      Lecture Notes on Data Engineering and Communications Technologies

      巻: 243 ページ: 1~8

    • DOI

      10.1007/978-3-031-86149-9_1

    • 査読あり

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公開日: 2025-12-26  

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