研究課題/領域番号 |
25000001
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
白波瀬 佐和子 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (00361303)
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研究分担者 |
数土 直紀 学習院大学, 法学部, 教授 (60262680)
吉川 徹 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (90263194)
中村 高康 東京大学, 教育学研究科, 教授 (30291321)
有田 伸 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (30345061)
三輪 哲 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (20401268)
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研究期間 (年度) |
2013-04-26 – 2018-03-31
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キーワード | 少子高齢化 / 社会階層 / 格差生成メカニズム / 職業経歴 / 階層意識 |
研究概要 |
平成25年度は、特別推進研究「少子高齢化からみる階層構造の変容と格差生成メカニズムに関する総合的研究」の初年度にあたる。まず、2015年に実施を予定している第7回「社会階層と社会移動の全国調査」(SSM調査)に向けて、2015年SSM調査研究プロジェクトを立ち上げた。メンバーは2014年3月末時点で、実証計量分析を専門とする中堅・若手研究者59名と、次世代育成の観点から院生(ポスドク含む)32名から構成される。メンバーシップの確認と、2015年調査に向けての経緯や業務、今後の研究計画などについて、2013年8月13日には第1回全体会議を開催した。その後、プレ調査、そして本調査に向けた議論のために、2013年12月と2014年3月の2回、全体会議を開催した。全体会議開催に加え、本研究会の趣旨確認、今後の組織運営等につき、2013年度中に9回の幹事会(8名の研究分担者から構成)を開催した。 本年度は、2015年SSM調査に向けたプレ調査と、第3回「中高年者の生活実態に関する継続調査」を実施した。少子高齢化と階層構造の変容を中心テーマとして2015年SSMでは、(1)調査対象者年齢を20から84歳へと拡大する(2005年までのSSMは20から69歳を対象としていた)、(2)調査対象者の親や子どもの情報、さらには婚姻歴についての情報を追加する、(3)資産についての情報を収集する、ことを新たな試みとした。そのため、特に、後期高齢層を含む70歳から84歳層に対して、学業終了からはじめての仕事についてからの職業経歴を聞き取る妥当性を含め、プレ調査を実施した。その結果、高齢者については転職数が比較的少なく職業経歴があまり複雑でないので、予想していたほど長い職業経歴を聞き取ることに問題はなかった。 2010年に第1回調査を実施して以来、2年ごとに実施している「中高年の生活実態に関する継続調査」の3回目調査では、これまでどおりの留置・訪問回収のスタイルに加えて、SSM調査と同様の職業経歴に関する面接調査を実施した。その結果、留置き調査については88%の回収率、面接調査についても78%ほどの高い回収率を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、これまでのSSM調査にかかわり分析・研究を進めてきた日本全国の計量分析を専門とする実証社会学者と若手の大学院生・ポスドクを中心とする研究会を立ち上げた。その構成員はすでに100名近くなっているが、3回にわたる全体会誌においても積極的な議論が展開できた。さらに本研究プロジェクトの中核となる9名の幹事は9回にわたる幹事会に加えて密に連絡をとりあって、短時間のうちにプレ調査を企画、実施することができた。さらに、第3回「中高年者の生活実態に関する継続調査」においては、88%という高い回答率を得て、詳しい面接調査についても78%という高い協力を得ることができた。回答内容も充実しており、予想以上に質の高い追跡調査データを収集することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2014年度は、2013年のプレ調査に加えて、回収率向上を目指し調査方法を検討するため、第I期プレ調査を実施した名古屋圏において、2回目のプレ調査の実施を予定している。標本数は200名程度とし、留置き票を郵送で送り、回収するために訪問する際面接をするという手順を試みる。2005年調査においては、訪問面接ののちに、留置調査を実施する手順をしていた。 2015年SSM調査は、日本全国に在住する20~84歳の男女を対象に層化二段階抽出法によって回収サンプル12,000を目標に調査を実施する。第7回は調査対象年齢の上限をこれまでの69歳から84歳に上げることから、調査内容、調査方法についても十分検討する。ただ、一度でこれほどの大規模調査をすることに困難が伴うため、2014年1月から3月(2014年度)にかけて第1期、2015年4月から夏ごろにかけて第2期調査を実施し、2015年SSM調査として統合する。 2014度は大きく二つの事項に取り組む。第一に、2015年SSM調査の実施を中心に、調査計画を組む。まず、SSM調査の伝統としての職歴に関する質問項目についてさらなる検討を加え、職歴研究の充実をはかる。さらに、これまでのSSM調査において十分検討されてこなかった、世帯構成に関する情報や婚姻歴といった人口学的変数について検討を加える。また、調査対象者の上限を上げたことに伴い、労働市場以外の事項について新たな質問項目の追加を検討する。そこでは、健康に関する質問や、資産、あるいは社会関係資本としてのつきあいについての質問項目を検討する。これらの質問項目については、少子高齢化・家族班、社会構造・職歴班、所得・資産班、社会意識班といった4つの分析班が中心となりつつ、互いに密に連携し、全体の整合性も考慮しながら議論を進める。 さらに、2014年2月に実施した第3回「中高年者の生活実態に関する追跡調査」のデータクリーニングを進め、公表に向けて分析を進める。また、所得・消費・資産に関する更なる検討を進めるために、厚生労働省が実施する「国民生活基礎調査」や総務省による「全国消費実態調査」等の個票データ分析も検討する予定である。
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