研究課題/領域番号 |
25000010
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
下山 勲 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (60154332)
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研究期間 (年度) |
2013-04-26 – 2017-03-31
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キーワード | MEMS・NEMS / バイオメカニクス |
研究実績の概要 |
本研究課題では、MEMSセンサグループ、細胞グループ、昆虫羽ばたき飛翔グループ、人間歩行グループの4グループが共同して研究を行った。 MEMSセンサグループでは、細胞グループ用の平面型多軸力センサとして、ピラー構造を有するマイクロオーダサイズのセンサの試作を手掛けた。またプローブ力センサにおいて、xyz方向の力及びプローブ周りめトルクを計測可能な4軸力センサを試作した。これらの試作した力センサの力分解特性を評価するため、条件数に基づいたセンサの力分解特性の評価方法を取り入れ、分解特性の定量的な評価を行った。 細胞グループでは、センサ上面が細胞接着基板面と同平面上にあるマイクロピラー型センサを用いて、同センサで実際に細胞が酵素処理により基板から剥離する際の3軸方向の力が計測できることを確認した。また、カンチレバー型センサをアレイ化して細胞の力計測を行い、定量的な力評価を行うためのシステムを構築した。 昆虫羽ばたき飛翔グループでは、プローブ型4軸力センサを用いて、ショウジョウバエの羽ばたき運動時に発生する力計測を行った。計測した結果から、重力方向の1羽ばたき周期の力の平均値を求めると、体重と同程度の力が発生しており、整合性の有る結果となった。一方で、水平前後方向では重力方向以上の力が発生していることが分かった。また回避行動を誘起するための視覚刺激を与えると、翼の打ち下ろし始めにおいて、回転運動を行うモーメントが発生することが確認された。 人間歩行グループでは、弾性体に埋め込んだ平面型多軸力センサを左右の靴のインソール内に合わせて16箇所配置し、3軸力分布データを無線でリアルタイムに送信できるワイヤレスかつウェアラブルな計測システムの構築を行なった。この計測システムを用いて、これまでに水平歩行・階段昇降・傾斜路歩行のデータを取得した。また、計測システムから得られる足裏3軸力分布のデータと、フォースプレートから得られる床反力のデータとの比較検証を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目標としていた項目に対して、問題なく研究を進められているので、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
MEMSセンサグループでは、細胞用平面型多軸力センサとして、マイクロオーダサイズのセンサ構造のアレイを進めるとともに、使用する細胞が発生する力に応じてピエゾ抵抗の感度調整を手掛ける。 細胞グループでは、平面型多軸センサアレイを用いて、細胞の力を多点で計測できるシステムの構築を進める。また、得られたデータを解析し、細胞の力学的特性を定量的に評価することに取り組む。 昆虫羽ばたき飛翔グループでは、引き続き、ショウジョウバエの羽ばたき運動時の力計測を行う。また視覚刺激の信号と力計測及び高速度カメラの信号を同期させ、運動の遷移時の詳細なデータを取得し、各羽ばたき運動時の力を評価していく。 人間歩行グループでは、引き続き、被験者数を増やして足裏3軸力分布データの計測を行なう。また、実験環境を一般的なフィールドにまで拡張し、様々な路面状況での計測を行なう。得られたデータの解析を行ない、各パラメータによる影響を個別に評価していく。
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