研究課題/領域番号 |
25000010
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
下山 勲 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (60154332)
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研究期間 (年度) |
2013 – 2016
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キーワード | MEMS・NEMS / バイオメカニクス |
研究実績の概要 |
本研究課題では、MEMSセンサグループ、細胞グループ、昆虫羽ばたき飛翔グループ、人間歩行グループの4グループが共同して研究を行った。 MEMSセンサグループでは、人間グループと共同してMEMSセンサを無線回路へ接続して用いることができるよう、Bluetoothでの無線計測を進めた。またセンサをアレイ化する際に増大する配線の問題を解決するべく、センサ素子の立体配線および省配線化の検討を行った。さらに当初計画に追加して、細胞の力をより正確に計測するため、疎水性膜による細胞接着位置の制御方法を細胞グループと共同して確立した。 細胞グループでは、作製した平面型多軸力センサでヒト由来骨肉腫由来細胞(U2OS細胞)を薬剤処理した際の力変化を3軸で計測を行った。計測した結果から、細胞が核方向に力を発揮していることが示唆された。また、ウシ由来平滑筋細胞をカセンサで計測した結果、細胞が剥がれる際に発生した力変化(数nN)の計測を実現した。さらに、カセンサを微小流路底面に組み込み、細胞が流路内を流れる際の圧力変化を直接計測する方法を確立した。 昆虫羽ばたき飛翔グループでは、引き続き、プローブ型4軸力センサを用いて、ショウジョウバエの力計測を行った。羽ばたき始めにおいては定常的な羽ばたき運動に比べ、羽ばたき周波数が高く、前後および上下方向の力の変動が大きいことが分かった。また前後方向に対して二峰性が大きく生じることが分かった。さらにフォースプレート型カセンサを用い、ショウジョウバエの離陸時においては脚力が運動に対して支配的であることを明らかにした。 人間歩行グループでは、傾斜角が歩行に与える影響と、水平歩行時の歩行速度による影響についてデータの蓄積を進めると共に、実験環境を一般的なフィールドに拡張し、様々な路面状況での計測を行なった。また、追加交付により下肢・足位置姿勢トラッキングシステムを導入し、下肢・足の位置や姿勢を数値データとして直接的に取得し、計測データの精度向上に取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目標としていた項目に対して、問題なく研究を進められているので、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
MEMSセンサグループでは、アレイ化により得られた巨大なデータを統計的に解析する方法について検討を進める。 細胞グループでは、多軸力センサアレイを用いて、細胞が接着した基板に対してどのような力を発揮して運動するかを計測するシステムを構築し、詳細に解析する。 昆虫羽ばたき飛翔グループでは、計測実験を継続するとともに、データ解析を行い、運動モデルの構築に取り組む。 人間歩行グループでは、被験者数を増やし、様々な路面状況での足裏3軸力分布データの計測を行なう。実験により得られたデータから人間特有の2足歩行についての運動モデルの構築を行ない、足裏3軸力分布データと生物機能である歩行・走行との関係を明確化していく。
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