研究実績の概要 |
ホロノミック勾配法に関する具体的な研究成果としては、分割表で周辺頻度を固定した場合の一般化超幾何分布に関して、基準化定数及び指数型分布族としての期待値パラメータに関する性質の評価とその数値的応用が挙げられる(Takayama, Kuriki and Takemura, "A-Hypergeometric Distributions and Newton Polytopes", arXiv 1510.02269)。これにより、一般化超幾何分布分布の最尤推定にかおける速度と精度の向上が得られた。また、統計学以外への応用としては、無線通信分野における多入力多出力系(MIMO, Multiple Input Multiple Output)の復号方式の性能評価へのホロノミック勾配法の応用があげられる。無線通信分野の統計的性能評価では、複素多変量正規分布や複素ウィシャート分布が用いられるが、ホロノミック勾配法によって、非心パラメータ行列がランク1の場合についてSN比の分布の数値的評価が可能となった(Siriteanu, Takemura, Koutschan, Kuriki, Richards and Shin, "Exact ZF Analysis and Computer-Algebra-Aided Evaluation in Rank-1 LoS Rician Fading", arXiv:1507.07056)。この他、統計的多変量解析における古典的な重要な課題である行列変数の超幾何関数の満たす微分方程式系や差分方程式系と、それに基づくホロノミック勾配法についても進展が得られている。
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