研究課題
基盤研究(S)
・高温高圧下での多結晶体合成手法を確立し、様々な化学組成を持つガーネット、イルメナイト、MgSiO3およびCaSiO3ペロブスカイトの高品質多結晶体試料の合成とキャラクタリゼーションを行った。このうちイルメナイト、アルマンダイン及びメージャライトガーネット、CaSiO3ペロブスカイトに対して、マントル遷移層条件下で放射光X線その場観察及び超音波法を用いた弾性波速度精密測定を行った。これらの結果に基づき、マントル遷移層最下部の化学組成に関する制約を行った。・下部マントル上部に対応する27GPa, 2000K程度までの条件下での超音波測定技術の開発に基づき、上記で合成したMgSiO3ペロブスカイトに対する弾性波速度測定を行った。更に圧力領域を拡張するため、新しく開発されたタングステンカーバイドや、焼結ダイヤモンドアンビルを用いた超音波測定技術の開発を行った。・天然のコンドライト隕石の下部マントル条件下での溶融実験を開始した。50GPa領域までの融解関係および元素分配に関する新しい結果が得られつつあり、今後更に様々な圧力温度領域での実験を行う予定である。・焼結ダイヤモンドアンビルを用いたX線その場観察実験及び急冷回収実験の併用により、下部マントル条件下で新たな高圧型含水相(Phase H)を発見した。この結果に基づき、マントル中の水の大循環、及び最下部マントルの地震学的不均質構造に対する影響を評価した。・ヒメダイヤを用いた様々な研究を開始した。特に放射光を利用したX線吸収実験において興味ある結果が得られている。
2: おおむね順調に進展している
超硬合金及び焼結ダイヤモンドを用いたマントル遷移層~下部マントル中部領域における実験的研究においては、当初の目標通りに研究が進展しつつある。特に下部マントル領域における新しい高圧型含水相の発見は、約30年ぶりのことでありNature geoscienceに発表され大きな反響を得た。また、モデルマントル物質を用いた下部マントル領域での密度・弾性波測定や、融解関係・元素分配も予定通りに進んでいる。一方で、マルチアンビル装置への応用を目指した大型ヒメダイヤの合成は、研究開始後の大型超高圧合成装置の不具合により修理に半年近くかかったため、十分な数の合成に至らずより高い圧力発生を目指した実験には大きな進展が見られなかった。
下部マントルの化学組成を制約する上で鍵となるMgSiO3ペロブスカイトの下部マントル条件下での弾性波精密測定、およびモデルマントル物質であるコンドライト隕石の溶融実験を引き続き重要課題と位置付けて研究を推進する。一方で、焼結ダイヤモンドアンビルとヒメダイヤアンビルを用いた実験技術開発に基づき、下部マントルのより深い領域での精密な実験を可能にすることも重要課題とする。これらの主要な挑戦的研究課題に加えて、これまでに開発してきた実験技術の応用により、下部マントル領域におけるマントルおよび沈み込むスラブ関連物質の相転移・密度及び弾性・融解関係などの精密決定を進める。一方で、ヒメダイヤおよび様々な高圧合成高品質多結晶体の特性評価と新たな応用についても、並行して研究を進める予定である。
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Earth Planet. Sci. Lett.
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