| 研究課題/領域番号 |
25220910
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| 研究機関 | 東北大学 |
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研究代表者 |
高梨 弘毅 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (00187981)
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| 研究分担者 |
Bauer Gerrit 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (10620213)
白井 正文 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (70221306)
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| 研究期間 (年度) |
2013-05-31 – 2018-03-31
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| キーワード | 磁性材料 / スピントロニクス |
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| 研究実績の概要 |
次世代の情報通信技術を担う新しいエレクトロニクスとしてスピントロニクスが注目されている。スピントロニクスで使用されている磁性材料は、主としてFe, Co, Ni系のランダム合金であるが、それでは性能に限界がある。我々は規則合金に着目し、高スピン分極材料としてL21型ホイスラー合金、高磁気異方性材料としてL10型規則合金を用いて、スピントロニクス機能の探求を行ってきた。その結果、平成28年度では以下の研究成果を得た。
1 高機能化：昨年度から引き続き、ホイスラー合金を用いた面垂直通電型巨大磁気抵抗効果（CPP-GMR）の向上と高いスピン注入効率の実現を目標として研究に取り組んだ。Ag-Mg非磁性中間層の組成や膜厚などの最適化を行うことで、フルホイスラーCo2(Fe,Mn)SiとAg-Mg中間層の構造において高いCPP-GMR特性を達成し、さらに第一原理計算との比較から伝導機構を解明した。また、ハーフホイスラーNiMnSbの素子においては多層構造化することによってCPP-GMRの増大を実現した。
2 多機能化：分子線エピタキシー（MBE）法を用いた単原子層積層制御によるL11-CoNiエピタキシャル薄膜に関して、精密構造解析により規則構造の形成を確認した。さらに、これまで用いてきたV/Au下地層をRu下地層へと変更することで、高い磁気異方性と低い磁気ダンピング定数が理論的に予言されているhcp型の積層構造が観測された。この結果から、下地層の制御によりL11型以外の規則構造が形成できる可能性が拓かれた。
3 スピンカロリトロニクスへの展開：規則合金における熱磁気効果の研究で得られた知見をもとに、研究対象をCo/Ni多層膜へと展開させ、多層膜における異常ネルンスト効果に関して層厚や温度に依存した変化を観測することに成功した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の研究では、非磁性中間層材料の最適化あるいは多層構造化によってCPP-GMR効果を増大することに成功している。また、CoNiエピタキシャル薄膜においては、hcp型の積層構造を実現するための方針が明確となっている。さらに、異常ネルンスト効果の研究対象を規則合金からCo/Ni多層膜へと拡張させ、系統的なデータが得られている。これらは、今年度の研究実施内容が計画を概ね達成するものであることを意味しており、研究は順調に進展している。
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| 今後の研究の推進方策 |
平成28年度の研究遂行により得られた成果をもとに、平成29年度は以下の内容を中心に取り組む。高機能化に関しては、強磁性金属層の特性改良（規則度や結晶性の向上）に加え、非磁性中間層の材料や膜厚などの最適化を図ることにより、CPP-GMRのさらなる向上をねらう。最終的には巨大なCPP-GMR比を実現するための指針を明確にする。多機能化に関しては、Co/Ni系においてhcp型の規則構造の作製に注力する。構造解析により規則度や結晶配向を明らかにし、磁化測定および強磁性共鳴測定を行うことで磁気異方性や磁気ダンピング定数を見積もる。最終的には高磁気異方性と低磁気ダンピングを両立するための道筋を明らかにする。スピンカロリトロニクスへの展開に関しては、Ni/Co多層膜の異常ネルンスト効果の研究を中心に進める。最終的には、異常ネルンスト効果の材料依存性や膜厚依存性などを俯瞰することで物理機構を統一的に理解し、高い異常ネルンスト効果を発現させるための指針を得ることを目指す。
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