研究課題/領域番号 |
25220915
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研究種目 |
基盤研究(S)
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
趙 孟佑 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60243333)
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研究分担者 |
豊田 和弘 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10361411)
増井 博一 九州工業大学, 宇宙環境技術ラボラトリー, 助教 (30437793)
岩田 稔 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80396762)
奥山 圭一 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30442461)
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研究期間 (年度) |
2013-05-31 – 2018-03-31
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キーワード | 航空宇宙環境 / 衛星帯電 / 小型衛星 |
研究概要 |
鳳龍弐号をベースに鳳龍四号の開発を開始した。 H25年度の主な目標は、衛星の基本設計と熱構造モデルの製作・試験及びミッション機器の設計と試作であった。衛星バス系は、衛星の信頼度を向上させると共に、ダウンリンク速度の増加、軌道位置並びに姿勢の確実な把握を達成するため、以下のような設計の改善を行った。 (a)高精度ジャイロとGPSを搭載, (b)太陽電池は高効率(29%)のものを搭載, (c)UHF/VHFアンテナの保持・展開は宇宙用部品を使用, (d)オンボードコンピュータにハードウェアリセットをかける, (e)S-band送信機並びに1.2GHz帯受信機を搭載 ミッション機器については、放電電流計測及び画像取得については、ブレッドボードモデル(BBM)により10MHz以上の帯域幅で電流計測を実施できることを確認した。画像取得についても、太陽光の影響を避けるためのフードの設計、カメラブームの固定化による信頼度向上を図ると共に、電子回路の基本設計を行った。プラズマ環境計測については、BBMによるダブルプローブの原理検証をすすめ、10^10/m^-3程度の密度まで測定可能なことをチャンバー実験により確認した。これらの結果に基づいて、熱構造モデルの設計図面を完成させた。 周波数申請のために、アンテナの基本設計を行い、UHF/VHF及びS-Bandアンテナを試作し、アンテナパターン計測を行った上で、周波数申請を行った。新たに必要となるS-Band地上局については入札仕様書を確定した。打ち上げ機会確保のために、外国での商業打ち上げとH2Aロケット相乗りの両面で各方面と折衝を行った。 また、鳳龍弐号で実施したHVSA実験とELF実験について、実験結果をまとめ、論文を作成した。この作業により、鳳龍四号の軌道上実験でなすべき課題がより明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
衛星開発は概ね順調に進んでいる。開発における3点の難所である、放電電流計測・放電画像取得・展開構造の3項目の技術成立性のうち、電流計測は実験により確認し、展開構造については宇宙用部品を搭載できるよう衛星バス設計を変更することで確認できた。画像取得についても理論上は可能であることが確認された。3月末までに熱構造モデル(STM)の製作・試験までを行う予定であったが、各搭載機器の配置(特に打ち上げ軌道が確定できないため、 アンテナ位置を調整する必要があった)に手間取り、図面を完成させるところでおわった。STMの製作・試験は2014年5月末までに完了予定である。 ミッション機器の画像計測電子回路の試作についても、2014年5月末迄に完了予定である。
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今後の研究の推進方策 |
衛星開発においては、プロジェクトマネージメント、ミッション機器開発、オンボードコンピュータシステム開発において、専任の人材を確保した。常勤教員5名の指導の元、大学院生とそれら専任人材で研究を進めていく。 平成26年度は、設計検証用のエンジニアリングモデルのハードウェア製作・組み立て・認定試験が中心となるが、九州工業大学内の試験設備を使い、できるだけ試験により検証を進めていく。また、放射線試験によるリセットシステム等の検証を通じて、衛星全体の信頼度向上をはかる。2015年2月頃を目処にCritical Design Review (CDR)を実施し、平成27年度中頃にフライトモデルを完成させ、機会さえあれば、いつでも打ち上げ可能な状態にする。 打ち上げ機会について、引き続き探索を行い、平成26年度中に予想されるH2Aの次期相乗り公募に応募すべく、衛星の提案書の作成を行う。平成26年度中にS-Band地上局を調達し、既存の衛星を追跡して基本性能を確認する。また地上局用ソフトウェアの開発を行う。
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