| 研究課題/領域番号 |
25221103
|
|---|
| 研究機関 | 東京大学 |
|---|
研究代表者 |
中野 明彦 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90142140)
|
|---|
| 研究分担者 |
上田 貴志 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10311333)
植村 知博 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (90415092)
黒川 量雄 独立行政法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, 専任研究員 (40333504)
富永 基樹 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 講師 (50419892)
須田 恭之 筑波大学, 医学医療系, 助教 (10553844)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2013-05-31 – 2018-03-31
|
| キーワード | オルガネラ形成・動態 / 膜交通 |
|---|
| 研究実績の概要 |
1.膜交通の可視化による選別分子機構の解明：酵母を材料に用い，超解像共焦点ライブイメージング顕微鏡（SCLIM）をさらに高性能化し，次のような研究を進めた。
(1) ゴルジ体槽成熟の分子機構：積荷マーカーと同時に小胞体，ゴルジ体マーカーを発現する株で，積荷が小胞体→ゴルジ体（cis→trans）と進んでいくタイムコースを詳細に調べた。(2) 小胞体からゴルジ体シス槽を形成する分子機構：小胞体のCOPII小胞出芽部位（ERES）とゴルジ体cis槽マーカーのkiss & runの際に積荷の受け渡しが行われていることを定量的なデータで示した。(3) ポストゴルジ交通網：エキソサイトーシスとエンドサイトーシスの交差点の理解：一群のRab/Ypt GTPaseの機能分担について，Rab cascadeの観点から詳細な可視化を進めた。(4) 共焦点レーザー顕微鏡の改良開発：製作した多波長ダイクロイックミラーとバンドパスフィルターを実装したSCLIMで，実際に多色観察できる株を確立し，励起，増感の条件を検討した。
2.植物における膜交通の研究：膜交通が組織，個体レベルでの高次機能で果たす役割を解析した。
(1) Rab5 GTPaseをツールとした植物膜交通の研究：2種のRab5の機能分担を分子レベルで明らかにするために，それぞれのGTP型特異的に結合するエフェクターの解析を行った。(2) 植物のゴルジ体とトランスゴルジ網（TGN）が担う膜交通の制御：小胞出芽の阻害剤を加えて一旦ゴルジ体とTGNを崩壊させ，薬剤を除いて再生させる系を用い，TGN-エンドソーム間輸送のメカニズムを詳細に調べた。(3) 細胞極性形成と維持：シロイヌナズナに存在するミオシンXIとミオシンVIIIの役割分担について，ライブイメージングによる研究を行った。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
植物膜交通の研究の中で，Rab GTPaseのエフェクター等の解析を行う際に，予定の方法でタンパク質精製が困難であることが判明し，その実験の実施のために翌年度に繰り越しを行った。結果，目的のタンパク質の精製に成功し，詳細な生化学的解析を進めることができた。
|
| 今後の研究の推進方策 |
引き続き，酵母と植物を材料に用いた膜交通の分子機構の研究を進める。酵母では，開発した超解像ライブイメージング顕微鏡を駆使して，さらに小胞形成と積み荷の受け渡しの過程，ゴルジ槽成熟の過程での積み荷の動きなどを明らかにしていく。植物の膜交通では，Rab GTPaseを中心とした生化学，ゴルジ体とトランスゴルジ網に注目したイメージング研究，ミオシンモーターの膜交通における役割の研究などを進める。
|
