研究課題
植物成長を制御する新しい細胞間シグナルとして,翻訳後修飾を伴った短鎖分泌型ペプチドに注目が集まっている.本研究は,翻訳後修飾ペプチドホルモンのさらなる探索や,受容および細胞内情報伝達機構の解明を基軸として,翻訳後修飾ペプチドを介した植物形態形成や環境応答の分子機構を明らかにすることを目的としている.最終年度においては,ペプチドリガンドの構造および受容体を期間内に明らかにすることができたものの,受容体欠損株の見かけ上の表現型やリガンドを外的に与えた植物体のトランスクリプトームデータだけでは生理機能を知ることが未だ困難なリガンド―受容体ペアについて解析を進めた.その一環として,受容体下流の初期情報伝達に関わる分子群を同定するため,15Nを用いた安定同位体標識法によるリン酸化変動プロテオミクスの系を確立した.独自のアルゴリズムにより,安定同位体を15N硝酸として取り込ませた植物体由来のリン酸化ペプチドを検出し,比較定量することが可能となったため,機能未知および既知のそれぞれのリガンド―受容体ペアについて網羅的解析を進めたところ,一部のペアについてペプチド処理後10分以内にリン酸化されるタンパク質を検出した.その欠損株の表現型やペプチド感受性を引き続き解析している.また,これまでに生理機能を明らかにしたリガンド―受容体ペアについて,その社会実装を視野に入れ,ビーズ固相化受容体を用いてアンタゴニストまたはアゴニストを探索する系を確立した.茎頂メリステムの幹細胞数を制御するCLV3-CLV1/BAM1ペアに着目して,ビーズ固定化BAM1に対するリガンド結合を阻害する低分子化合物を探索したところ,NPD12704アンタゴニストとして同定することに成功した(Commun. Biol. 2019).NPD12704を植物体に与えるとBAM1の欠損と類似した効果を示すことが確かめられた.
平成29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
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