研究実績の概要 |
本研究は、代表者らが、これまで推進してきたセントロメアに関する研究をベースとして、セントロメアの分子基盤の解明を目的としている。26年度の研究実績の概要を述べる。 1)染色体工学を活用したセントロメアの形成機構の解明: 25年度までの研究で、培養細胞中で新規セントロメア (ネオセントロメア) を作出する実験系を確立した。26年度は、この実験系を活用してセントロメアに特異的なエピジェネティックマーカーの探索を試みた。その結果、セントロメアのヌクレオソーム中のヒストンH4の20番目のリジンがモノメチル化(H4K20me1化)されることを見いだした (Hori et al., Dev Cell, 2014)。またこのH4K20me1化が動原体形成にも必須であることも示した。また、LacO-LacIの系でセントロメアが誘導できることも明らかにした (Fukagawa et al., Dev Cell, 2014)。 2)セントロメア構成タンパク質の試験管内再構成: セントロメアの再構成を究極の目標として、幾つかのセントロメア構成タンパク質とDNAの再構成を試みた。特に、CENPTWSX複合体に注目して、CENP-TWSX複合体とCENP-Aヌクレオソームの高次複合体の再構成に成功した (Takeuchi et al., NAR, 2014)。 3)セントロメアタンパク質複合体の原子レベルでの基盤構造の解明: 25年度には、CENP-TとNdc80複合体のX線結晶構造解析に成功した。本年度は、CENP-T-W-S-X複合体とDNAの結晶化を試みたが、構造解明までには至っていない。今後、電子顕微鏡を用いた解析にも挑戦する。また、CENP-H複合体のCENP-L/NとCENP-Cの結合状態についてNMR解析を行い、CENP-Cの結合部位が同定できた。この結合の意義を今後解析する予定である。
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