研究実績の概要 |
1. 染色体工学を活用したセントロメアの形成機構の解明 26年度までの研究で、培養細胞中で新規セントロメア (ネオセントロメア) を作出する実験系を確立し、26年度は、この実験系を活用してセントロメアに特異的なエピジェネティックマーカーを見いだし、このH4K20me1化が動原体形成にも必須であることも示した。また、LacO-LacIの系でセントロメアが誘導できることも明らかにした。27年度は、これらの研究をベースに、CENP-C及びCENP-Tによる動原体形成における2 pathway modelを提唱して、その機構を解明する研究を行った。 2. セントロメア構成タンパク質の試験管内再構成 CENP-H複合体は、我々が世界に先駆けて同定した複合体であり、CENP-H, -I, -K, -L, -M, -Nなどのタンパク質を含むが、その機能に不明な点が多い。試験管内でこの6タンパク質を発現させても複合体を精製するには至っていないが、研究を進めるうちにCENP-Lと-Nがヘテロ2量体を形成することがわかってきて、CENP-L-Nヘテロ2量体の精製には成功した。また、意外にもCENP-L-Nヘテロ2量体とCENP-Cとの複合体が再構成することに成功した (Nagpal et al. Mol. Bio. Cell, 2015)。この成果は、より大きな複合体の再構成への大きな手がかりとなる。 3. セントロメアタンパク質複合体の原子レベルでの基盤構造の解明 CENP-H複合体のCENP-L/NとCENP-Cの結合状態についてNMR解析を行い、CENP-Cの結合部位が同定できた。この解析では、CENP-Cの166-224アミノ酸領域が間期特異的にCENP-L/Nと結合することを見出し、その結合は、細胞分裂期には失われることも明らかにできた。
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