研究課題
1)染色体工学を活用したセントロメアの形成機構の解明 これまでの基盤研究(S)の研究において、実験的に培養細胞中でネオセントロメアを作成することに成功してきた。さらに、そのシステムを用いて、セントロメアヌクレオソーム中に含まれるヒストン修飾の同定を目指し、本年度はH4の5番目と12番目のリジンがアセチル化され、それがセントロメアの形成に重要であるという結果を得た。これは、特筆すべき成果と考えている。また、過去の研究でシステムを構築してきたLacO-LacIのシステムを活用して、微小管結合タンパク質のリクルートに関与するCENP-CとCENP-T の2 pathwaysは、細胞周期を通じて、使い分けをしていることを明らかにした。2)セントロメア構成タンパク質の試験管内再構成 昆虫ウイルスの実験系を活用することで、CENP-H複合体の再構成については終了した。次に、この複合体の構造解析実験に入った。また、1分子イメージングを用いて、CENP-H複合体がNdc80複合体の微小管結合能にどのように関与しているかを解析できた。3)セントロメアタンパク質複合体の原子レベルでの基盤構造の解明 CENP-H複合体は巨大複合体であり、X線結晶構造解析は困難であるので、電子顕微鏡を用いた構造解析を開始した。20A程度の解像度でこの複合体を観察できるようになってきた。今後、クライオEMなどを活用することで、高精度の構造解析を目指す。
1: 当初の計画以上に進展している
新しいヒストン修飾の同定が進み、これがセントロメアの形成に重要であることを示せたのは、予想外の進展である。その結果、よリ詳しいセントロメア形成機構の解析実験に入ることができた。残りの再構成実験や構造解析の実験は、概ね予定通りに進行しているが、総合的に見て、当初の計画以上のペースで研究は、進展している。
これまでの研究は、順調に推進できているので、基本的には、引き続き研究計画に沿って研究を推進する。再構成タンパク質の解析は、電子顕微鏡解析を中心に進める。タンパク質再構成の評価として、1分子顕微鏡観察の導入を開始したが、この実験も継続して行う。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 4件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 7件、 謝辞記載あり 8件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 8件) 備考 (3件)
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