研究課題
植物は土壌から無機元素を吸収して生育する独立栄養生物であり、植物の土壌からの栄養吸収に人類の繁栄は依存している。植物は必須元素を感知し、それに応じて吸収、輸送、利用を変化させることで、栄養ホメオスタシスを保つ巧みな仕組みを持っている。このような仕組みを理解することは、肥料の使用を増やさず環境に配慮しながら、増え続ける世界人口を支えていくうえで重要である。本研究は植物の持つ栄養ホメオスタシス機構を理解することを目的としている。全体としては、複数の元素を対象として、シロイヌナズナを中心とした変異株の単離、原因遺伝子の同定と機能解析、それに基づいた定量的解析と数理的なモデル構築と検証を行うこととしている。本年の成果としては、これまでのスクリーニングでマグネシウム、カルシウム、マンガン、銅、モリブデン、ホウ素に対する応答の異なる変異株や栄養の含量が異なる変異株の原因遺伝子を同定し、一部について機能解析を行った。ホウ素に対する応答機構については、ホウ素に応じたNIP5;1mRNAの分解機構について反応に必要な配列を同定し、また、必要な配列を異種遺伝子に導入した際の効果を見た。また、栄養輸送の定量的なシステムの改良については、シロイヌナズナ根での元素の分布解析を行うと共に、根の細胞層特異的にトランスポーターを発現するためのコンストラクトを20種以上構築し、形質転換シロイヌナズナの作出を進めた。一部の形質転換株については、低ホウ素での成長や地上部ホウ素濃度に影響を及ぼしていることを見いだした。
2: おおむね順調に進展している
数理モデル構築、ホウ素感知機構、新規栄養変異株の解析ともに、それぞれ順調に進展している。
予定通り研究を推進して行く。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (13件)
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