研究課題
これまでに取得していたシロイヌナズナの栄養応答性変異株の遺伝解析を行い、その一部について原因遺伝子を同定すると共に、同定した遺伝子の機能解析や発現解析を行った。同定した遺伝子には栄養の輸送に関わる遺伝子、細胞壁成分の合成に関与する遺伝子や遺伝子の発現を網羅的に制御する遺伝子等が含まれており、遺伝子産物が活性を持つ事を明らかにした。これらの遺伝子の発現の特徴や遺伝子産物の細胞内局在を明らかにした。さらには、変異株をさらに変異原処理して栄養応答性が変化した変異株を同定し、一部については遺伝解析を進めた。NIP5;1のmRNAの蓄積のホウ素栄養による制御機構の解析については、植物細胞を用いた実験によりNIP5;1のmRNAの5'UTRに存在するAUGUAA配列以外にもコザックの共通配列やAUGUAAの上流の配列などが重要な役割を果たしている事を明らかにした。また、in vitro翻訳系を用いた実験によっても、これらの配列が制御に重要であることを明らかにした。無機元素輸送の定量的に理解へ向けてのアプローチとしては、モデルの改善をさらに進めるとともに、根におけるホウ素の分布を明らかにし、モデルによって予想された元素分布が実験によってもおおよそ再現されることを確認するとともに、実験では明らかにできない輸送の特性をモデルから推論した。また、4つの細胞を取り出して簡略化した連立微分方程式を用いた解析を進め、栄養素による輸送体の制御がどのような影響をもたらすかを推論した。
2: おおむね順調に進展している
一部、予想しない事態が起こる等したものの、3つの項目それぞれに予定通り進捗しており、概ね順調に進展しているものと判断している。
当初の予定通り進めて行く予定である。
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