研究課題
昨年度までに取得していたシロイヌナズナ変異株の分子遺伝学的解析によって同定した原因遺伝子の役割に関する研究をさらに進めた。同定された原因遺伝子の一つは5‘上流側にuORFを持っており、このuORFの翻訳がマグネシウム依存的に変化すること、mainORFを過剰発現させるとマグネシウム濃度が低い条件での生育が改善することを見出した。各種栄養欠乏条件で栽培したシロイヌナズナのmRNA seqのデータからlong-non coding RNAを選び出しその発現が変化するものを見出し、当該lincRNAが窒素栄養に対する応答に関与する可能性を見出した。NIP5;1遺伝子のmRNAのホウ素による制御機構の解析については、in vitro translation系を用いて、ホウ素を加えた条件でAUGUAA配列上に停止したリボソームを精製する系を確立した。理化学研究所との共同研究によりcryo-EMを用いた構造解析を試みた。その結果、AUGUAA上で停止しているリボソームはPサイトにAUGがAサイトにUAAが存在した状態であることが明らかになった。また、昨年度までに同定したAUGUAA配列依存的なホウ素応答を引き起こすことができないシロイヌナズナ変異株の原因遺伝子を推定した。この遺伝子はmRNAの分解に関与している可能性があるもので、リボソームが停止した後のmRNA切断に関わっている可能性が考えられた。また、これらの研究を通じてAUGUAA配列を介した翻訳制御が転写制御を伴って起こっていることを明らかにした。環境中の栄養条件が変化すると変化直後はmRNAを素早く分解することによって、不必要なmRNAの濃度を下げるものの、変化した栄養条件が継続すると転写制御によって発現を効率的に抑制していることが明らかになった。この現象の解析の過程では数理モデルを用いた分解速度の推定などを行なった。
平成29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018 2017
すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 4件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 11件) 学会発表 (42件) (うち国際学会 1件)
Plant Physiology and Biochemistry
巻: 136 ページ: 58-66
doi.org/10.1016/j.plaphy.2018.12.027
Nature Communications
巻: 9 ページ: 5285
https://www.nature.com/articles/s41467-018-07393-6
Journal of Experimental Botany
巻: 69(15) ページ: 3715-3728
doi.org/10.1093/jxb/ery171
The Plant Journal
巻: 95(5) ページ: 763-774
doi.org/10.1111/tpj.13985
Plant Physiology
巻: 177 ページ: 759-774
doi.org/10.1104/pp.18.00119
Journal of Plant Physiology
巻: 224/225 ページ: 137-143
doi.org/10.1016/j.jplph.2018.03.014
J Exp Bot.
巻: 69(7) ページ: 1795-1803
doi: 10.1093/jxb/ery018.
BioTechniques
巻: 63(6) ページ: 281-283
doi/10.2144/000114621
eLife
巻: 6:e27038 ページ: -
doi: 10.7554/eLife.27038.
The Plant Journal online
巻: 91 ページ: 741-753
doi:10.1111/tpj.13606
Plant Cell
巻: 28(11) ページ: 2830-2849
DOI: 10.1105/tpc.16.00481