研究課題/領域番号 |
25221304
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研究種目 |
基盤研究(S)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯野 正光 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50133939)
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研究期間 (年度) |
2013-05-31 – 2018-03-31
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キーワード | シグナル分子 / 生体分子 / 脳・神経 / 薬理学 / 生理学 |
研究概要 |
1)NOによるCa2+放出機構(NICR機構)の病態生理 NICR機構に関連するシステイン残基をアラニンで置換したノックインマウス(C3636Aマウス)を用いてNICR機構の病態生理的意義について以下の解析を実施した。(1)NOドナーによる細胞死を、野生型およびC3636Aマウスから得た培養神経細胞で比較し、C3636Aマウスで細胞死が起こりにくいことを確認した。(2)海馬スライスに薬物を投与してんかん様の強い神経活動を誘発し、神経細胞死を解析する実験系の確立を進めた。(3)代表的なカイニン酸てんかんモデルを用い、野生型とC3636Aマウスにおいて、てんかん発作の強さ、および発作後の神経細胞死を比較するモデル系を確立した。 2)グリア細胞Ca2+シグナル機構の病態生理 アストロサイト特異的にタンパク質型Ca2+インジケーター(YCnano)を発現する遺伝子改変マウスを用い、二光子励起顕微鏡法を用いた生体内イメージング法を確立した。 3)細胞内小器官Ca2+動態の病態生理 細胞内小器官内腔に局在してCa2+濃度変化に応答するインジケーター群CEPIAシリーズの開発に成功した。これにより、細胞質、小胞体内腔、およびミトコンドリア内腔のCa2+濃度を同時に色違いで測定することが可能になった。これを用い、小胞体とミトコンドリア内腔のCa2+濃度の連携関係を、細胞内での不均一性を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画については、予定通り進んだ。計画の一部(CEPIAシリーズの開発)については、予定した以上に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1)NOによるCa2+放出機構の病態生理:(1)海馬培養細胞における神経細胞死解析のため、CEPIAを海馬培養細胞に発現させ、NO投与による変化を測定するための実験系を確立する。(2)海馬スライス標本における神経細胞死解析のため、てんかん様の強い神経回路刺激に伴うリアノジン受容体のS-ニトロシル化測定法の確立を目指す。(3)カイニン酸モデルを用い、野生型とC3636Aマウスにおいて、てんかん発作の強さ、および発作後の神経細胞死を比較解析する。 2)グリア細胞Ca2+シグナル機構の病態生理:初年度の研究で、生体内でアストロサイトのCa2+動態を観測する方法を確立したので、Ca2+シグナル大脳皮質に傷害を加えた後、アストロサイトのCa2+シグナルと形態変化を生体内で長期間可視化観測する実験系の確立を進める。 3)細胞内小器官Ca2+動態の病態生理:CEPIAシリーズの特性を生かし、小胞体とミトコンドリア内腔のCa2+濃度の連携関係を、細胞死やオートファジーなどとの関連において解析を進める。また、小胞体とミトコンドリアの接合部構造の意義を解析するため、接合部構造の重要なタンパク質であるmitofusinなどをノックダウンすることにより、どのような変化が起こるかについて解析を開始する。
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