研究課題
Ca2+シグナル機構と病態の関連を以下の項目で追求した。1)NOによるCa2+放出機構(NICR機構)の病態生理 リアノジン受容体が脳傷害後の治療標的となる可能性を示す論文発表を前年度までに完了した。2)グリア細胞Ca2+シグナル機構の病態生理 本研究で確立した脳傷害前後の生体内アストロサイトCa2+イメージング解析により、傷害後に分単位の短時間でアストロサイト機能変動が起こることが示唆された。その分子実態を解明するため、傷害後の脳組織からアストロサイトを含む細胞分画を精製してプロテオミクス解析を行った結果、細胞骨格タンパク質やトランスポーターなど数種類のタンパク質が短期間で量もしくは質的に変動することを突き止めた(学会発表済み)。さらに、アストロサイトCa2+シグナル抑制マウスを用いて同様の解析を行い、長期間での遺伝子発現変動解析では明らかでなかった予備的知見を得た。3)細胞内小器官Ca2+動態の病態生理 細胞内小器官用Ca2+インジケーターCEPIAをアデノ随伴ウイルスを用いアストロサイト小胞体に特異的に発現させ、脳スライス標本を用いてノルアドレナリン刺激に伴うCa2+放出を観察した。2型IP3受容体欠損マウスでは通説通り細胞質Ca2+シグナルはほとんど見られないが、小胞体からのCa2+放出およびミトコンドリアへのCa2+流入は、野生型マウスのものと比較すると小さいものの、有意に観察されることを突き止め論文発表を行った。4)生体内Ca2+可視化法の応用拡大 膵β細胞特異的にYC-Nano50を発現するトランスジェニックマウスを作成し、生体内β細胞Ca2+イメージング法を確立した。生体内で膵島のCa2+活動様式を捉えることに成功し、パルス状インスリン分泌の基盤となり得るCa2+活動を世界で初めて観察した(学会発表済み)。これにより病態解明に至る道筋が整備された。
平成29年度が最終年度であるため、記入しない。
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