研究課題
WNKキナーゼシグナル系の生体内での役割の解明については、その新規制御系であるKLHL3-CUL3によるWNKの分解系について、以下のたな知見を得ることができた。1)KLHL3のヒトでの変異がなぜ偽性低アルドステロン症II型(PHAII)を引き起こすのかについて、その変異を持つノックインマウスを作成し解析した。その結果、培養細胞系での今までの結果のとおり、生体内でもKLHL3がWNKキナーゼのE3リガーゼの一部として働き、PHAII起因性の変異によりその過程が障害され、腎臓でのWNK1およびWNK4が増加することがしめされた(Hum Mole Genet)。2)血管平滑筋での主要なWNKはWNK3である事は既に報告しており、アンギオテンシンIIの制御下にある事も報告していたが、今回、アンギオテンシンIIがいかにWNK3を制御しているかを解明した。アンギオテンシンIIはp62を介した選択的オートファジーを誘導し、その結果KLHL3と非常に相同性の高いKLHL2を分解する。KLHL2の分解はWNK3の分解を低下させ、結果としてWNK3以下のシグナル系を亢進させる(JASN)。その他、WNKキナーゼシグナル系を制御する方策としてSPAKキナーゼの阻害薬のケミカルライブラリースクリーニングを終了し、候補となるseed化合物を得ることができた(JASN)。
2: おおむね順調に進展している
成果も順調に論文発表できており、シンポジストとしてアメリカ腎臓学会総会でも招聘をうけるなど、この分野での世界のトップランナーとしての評価を受けていると考えるため。
WNKキナーゼシグナル系の生体内での役割とその病態への関与については順調に解明が進んでいる。また、その系を外から制御する方策についても、阻害薬となる小分子化合物のスクリーニングが終了し、今後は誘導体展開を含めて、最適化にすすめるところまで到達した。これらの計画をすすめつつ、塩分負荷がWNKキナーゼ系を介してどのように病態形成にすすむのか、それらのモニターする方策はないか、についても今後は研究をすすめていく。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 謝辞記載あり 7件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
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