研究課題/領域番号 |
25221308
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
押村 光雄 鳥取大学, 染色体工学研究センター, 特任教授 (20111619)
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研究分担者 |
尾崎 充彦 鳥取大学, 医学部, 准教授 (40325006)
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研究期間 (年度) |
2013-05-31 – 2018-03-31
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キーワード | 染色体工学 / 人工染色体 / ダウン症候群 |
研究実績の概要 |
ダウン症候群に高頻度に見られる急性巨核芽球系白血病の発症メカニズムを解明するため、以下のステップで研究を遂行した。 1. マウスモデルによるストラテジー 近年開発したマウス人工染色体(Mouse artificial chromosome:MAC)を用いて、トリソミーモデルマウスを作製することを目指した。1)GATA1sマウス系統とhChr21q-MACマウス系統の交配によりGATA1s/hChr21q-MACマウスを系統化した。B6系統で系統化することが困難であったため、BDF1系統での系統化を試みた。現在交配し、血液学的試験を行うための繁殖を行っている。2)hChr21q-MACマウスを用いて放射線感受性試験を行ったところ、正常マウスに比べ優位に放射線感受性が高いことが明かとなった。 2. ヒトES細胞によるストラテジー 1)昨年度までに作製した種々のヒト21番染色体領域を持つトリソミーヒトES細胞を血液分化誘導を行うことで血液分化異常とヒト21番染色体領域との関係を検索したところ、ETS2部位での切断ヒト21番染色体導入ヒトES細胞を用いた場合でも、表現型異常に変化はなかったことから、ETS2からテロメア側には原因遺伝子が存在しないことが明かとなった。2)ゲノム編集技術を用いて特定の遺伝子を破壊したヒト21番染色体を作製し、その改変ヒト21番染色体を持つトリソミーヒトES細胞を作製した。3)2)で構築したES細胞について、ヒト21番染色体特異的プローブを用いてFISH解析を行うことで、改変21番染色体のみが過剰に1本保持されたトリソミーES細胞を選別した。さらに、SCIDマウスの精巣に各細胞を移植し、テラトーマを作製することで、3胚葉に分化能を持つES細胞であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画した2つのストラテジーについて、予定どおりに成果を上げることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
ストラテジー1については、GATA1sマウス系統との交配により上記マウスを系統化し、血液学的解析により正常マウスとの差を比較検討する。また、ストラテジー2については今年度作製した特定遺伝子破壊ヒト21番染色体を持つトリソミーヒトES細胞を用いて血液分化異常のメカニズムについて検索し、ヒト21番上の原因遺伝子を同定する予定である。また、Ts21/GATA1s-ES細胞にさらにDS-AMKL患者で見られる変異を導入し、DS-AMKL様表現型が観察されるかを検討する予定である。
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