研究課題/領域番号 |
25240002
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岩間 一雄 京都大学, 情報学研究科, 教授 (50131272)
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研究分担者 |
宮崎 修一 京都大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (00303884)
玉置 卓 京都大学, 情報学研究科, 助教 (40432413)
上野 賢哉 京都大学, 学内共同利用施設等, 助教 (70586081)
AVIS David 京都大学, 情報学研究科, 教授 (90584110)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アルゴリズム / 計算困難問題 / 情報の補填 / 数理モデル化 / 理論的性能保証 |
研究概要 |
近年,データ量の際限の無い増大とともに,その一部のみしか利用できず,そのために正確な計算が原理的に不可能になる場合が目立ってきた.本研究では,この様な新しいタイプの近似計算にスポットをあて,そこで最も重要になる乱択計算にも注目し,できるだけ一般性の高いアルゴリズム設計理論の体系化を目指す. 以下, 代表的な結果である「パラメータ化検査可能性」について述べる.本結果では,「ランダム枝サンプリング付一般グラフモデル」において,パラメータkを持つNP最適化問題の性質検査を研究した.上記モデルでは,入力グラフに関する情報を得る方法として以下の4種類の「質問」を行うことができる.(1) ランダム頂点サンプリング,(2) ランダム枝サンプリング,(3) 次数質問,(4) 近傍質問.我々の目的は,できる限り少ない質問回数で,入力が性質を満たすか,性質を満たすことから程遠い (ε遠隔) かを区別することである.特に,質問回数が入力サイズによらない定数で抑えられるとき,その性質は検査可能であるという.本結果では,k頂点被覆,kフィードバック頂点集合,k多重カット,k道無とk支配集合が検査可能であることを示した.さらに,k奇閉路横断に対して,質問回数が劣線形で押されられることも示した.(国際会議ITCS 2014で発表済)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題は (1) グラフの性質検査アルゴリズムに対する枝サンプリングの重要性,(2) 安定マッチングとそれに関連するアルゴリズム的ゲーム理論における様々なタイプの不完全情報処理,(3) アルゴリズムにおける乱化の威力の研究を主要なテーマとしている. (1) に関しては,研究実績の概要で述べたとおりの成果を挙げている.(2) に関しては,安定マッチングに対する男性最適アルゴリズムの挙動を解析し,男性がリストを操作することで利益を得られるか検討した.(Algorithms誌に掲載済) また「一方にタイを許すモデル」において,最大安定マッチングを求める近似アルゴリズムを設計し,現在最良の近似値25/17を達成した.(Algorithmica誌で発表済) (3) に関しては,3SAT (充足可能性問題) に対する乱択アルゴリズムの解析を行い,このアルゴリズムにおいて乱化が本質的でないことを示した.結果として世界最速の決定性アルゴリズムを与えることができた.(Algorithmica誌に掲載済) 以上,すべてのテーマにおいて当初の計画以上の速さで研究が進んでおり,十分な達成度と言える.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画以上に進展しているが,基本方針は変更せず,それぞれのテーマの研究を継続する.特に,フィードバック頂点集合問題に対するFPTアルゴリズムにおける研究プロジェクトが完成に近づいており,これらをまとめて論文にして発表する.
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