本課題は、意識や内省と呼ばれる、私的な心的情報にアクセスする心の機能(認知的メタプロセス)の進化と発達を、多様な動物や乳幼児を対象に分析するとともに、それが他者理解機能にもたらす意義を明らかにすることであった。主な成果として、イヌやネコはじめ多様な動物が、偶発的に憶えた記憶内容を後刻取り出して適応的に利用できるらしいこと、5-6歳児は、将来の自身の知識状態を推理して、必要な情報を事前に準備できること、ハトにもその能力は一部備わっていること、イヌは他者間のやり取りから第三者を評価すること、イヌは自身の行動経験を、他者の行動の意味や物体の性質の理解などに利用できることなどを明らかにした。
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