研究実績の概要 |
テーマ別に以下に記す。 【A】チャンネル間処理の共通性の実証:前年度から継続して,単耳(時間)と両耳間(空間)での無音検出閾値を測定した。その結果,無音前後の周波数が同一の場合には両耳間の閾値の方が高くなるが、周波数が異なると同じ値に収束する傾向が見られた(Ito et al., 準備中)。音声と時間に関しては,有声・無声閉鎖音の識別境界VOT値と同時性閾値がほぼ同じ値になり、2つの間の共通性が確認された(Tamura et al., 2017)。 【B】チャンネル間処理の脳内メカニズムの同定:周波数間無音検出状況での聴性脳幹反応(ABR)を測定し、後続音の周波数が低くなるほど戦時が長くなる傾向が観察された。無音検出状況下での脳磁図(MEG)を実験参加者の反応(「無音有り」「無音無し」)により分けて分析したところ、一部の参加者では「無音有り」の場合にのみ後続音の開始による波形の変化が観察された。また、有声・無声閉鎖音聴取時の脳磁図の測定では、聴覚野の活動と行動実験での識別判断の変化に関連性が見られた(田村ら, 2017)。 【C】促音知覚と視覚におけるチャンネル間処理の検討:前年度までの研究を総括した。視覚に関しては、ギャップ前後の正弦波格子縞の周波数が異なると、同じ場合よりもギャップ検出閾値が上がり、この傾向は格子縞の方向がギャップ前後で変化しても維持された。 以上の成果に関しては174th Meeting of the Acoustical Society of America(2017年12月,New Orleans)や日本音響学会秋季(2017年9月,松山市)及び春季研究発表会(2018年3月、埼玉)等で発表した。8月には研究メンバーや招待講演者によるワークショップを九州大学伊都キャンパスで開催した。
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