研究課題/領域番号 |
25240043
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
加藤 俊一 中央大学, 理工学部, 教授 (50297107)
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研究分担者 |
梅田 和昇 中央大学, 理工学部, 教授 (10266273)
坂根 茂幸 中央大学, 理工学部, 教授 (10276694)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 感性情報処理 / 感性認知科学・感性心理学 / 感性的共生 |
研究概要 |
感性情報学的なアプローチによる感性の統合的なモデル化の観点では、コントラストに基づく感性的な情報量の考え方、すなわち、複数の刺激を並行して受けた時に、全体の主観的な印象に影響する刺激は、刺激の強さではなく、他の刺激との違い(情報量)によるとの仮説の定式化を進めた。具体的には、知覚過程における視覚刺激に関して、インテリアコーディネイト写真やファッション写真のようなカラーの配色を例に、出現頻度の高い色(ベースカラー)と共に、出現頻度は少ないがベースカラーとは明度・彩度、特に、彩度に違いのある色がアクセントとして被験者に認識され、それがベースカラーと共に全体の印象に大きく影響することを確かめた。 人間工学的なアプローチによる感性モデルの検証の観点では、文字・画像の混在するマルチメディア刺激に対して、物理的な刺激、視線や脳活動を含む生理的な指標、主観評価の計測とこれらの測定値の間の関連性の解明の研究も開始した。その結果、マルチメディア刺激を言葉として知覚している場合と、画像・映像として知覚している場合とで、脳活動の部位が異なる(ブローカー野と視覚野)こと、また、主観的な興味の強さと前頭前野の脳活動に違いがあることを、fNIRSを用いた計測で確認した。これにより、複合された刺激から自分にとって意味のある情報として何を注しているのかを判断する手がかりが得られ、また、同時に、主観的な興味の強さも推定することに道を開けた。 H24年度はまた、知識評価過程での、新たな知識コンテンツの存在への気付きや、自分の評価とは異なる評価への気付きとその印象の強さの推定の研究に着手した。その実験用プラットホームとして、自分の評価とは異なる評価への気付きとそれへの主幹評価の関係を調べるためのデータベースシステムを、複数の利用者間でWeb2.0を拡張した主観評価タグの付与・共有・検索システムとして作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光刺激などの画像解析的な特徴抽出、光トポグラフィ計測装置fNIRSや視線検出装置による生体的な反応、および、アンケート等による主観評価の組み合わせた解析を進めることにより、知覚過程での感性情報処理のモデル化を進めることができた。 また、知識評価過程の実験用プラットホームとして、Web2.0を拡張した主観評価タグの付与・共有・検索システムを試作することができた。今後は、このプラットホームを活用してのデータの集積と評価実験の実施が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
構築した実験環境を用いて、多様な多感覚情報・状況設定・知識コンテンツに対して、被験者による主観的なイメージ評価と、その評価の過程での脳活動を含む生理的な指標の計測・分析、さらに、被験者の感性モデル上で推定された評価(優位性、意外性、気付きの度合いを含む評価)との対応関係の集積を進めながら、これら指標の間の関連性を分析する。 前年度に開発した技術により、自分の感性とは異なった人々の感性モデルを利用してマルチメディアコンテンツや知識コンテンツの検索実験を進める。
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