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2013 年度 実績報告書

RNA・タンパク質相互作用の網羅的予測と検証

研究課題

研究課題/領域番号 25240044
研究機関東京大学

研究代表者

浅井 潔  東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (30356357)

研究分担者 浜田 道昭  早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (00596538)
亀田 倫史  独立行政法人産業技術総合研究所, ゲノム情報研究センター, 研究員 (40415774)
石黒 亮  法政大学, 付置研究所, 研究員 (70373264)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードRNAタンパク質相互作用 / RNA2次構造
研究実績の概要

追加のアルゴリズム開発を行うことが必要となったため、予定よりも研究計画の遂行に遅れが生じたが、RNA2次構造の要素に関する塩基ごとの周辺確率を計算するアルゴリズム、RNA2次構造の確率分布を効率的に計算するアルゴリズムを開発・実装し、査読付論文誌に発表することができた。
また、RNA-タンパク質相互作用において、RNAとタンパク質の間に形成される水素結合を機械学習の手法を用いて予測する手法の開発を行い、一定の精度で既知のRNA-タンパク質間の水素結合を予測できることを確認した。この手法を基に、既に開発済みのRNA2次構造の各種構造要素(塩基対、各種ループ構造)を形成する確率を計算するツール群等を組み合わせることで、より高精度な予測を目指すとともに、網羅的なRNA-タンパク質相互作用の予測へと繋げていく予定である。さらに、ENCODEやFANTOM、The Human Protein Atlasなどの国際プロジェクトにより、様々な細胞種・組織でのRNAとタンパク質の発現量データが公開され、利用可能になってきている。これらのデータも積極的に活用し、生体内でのRNA-タンパク質相互作用の網羅的な予測を高精度化していくことも検討している。
また、RNAとタンパク質の単体の立体構造がそれぞれ得られる時に、剛体ドッキングを用いて、RNA-タンパク質複合体の立体構造を予測する手法を開発も行った。開発したドッキング手法は、様々なベンチマークデータを用いて、従来法との比較・検証を行い、従来法と比べて大幅な予測精度の向上、世界最高水準の予測精度を達成することが確認された。この成果は、現在査読付き論文誌へ論文を投稿中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成25年6月、すでに開発済みのRNA情報解析ソフトウェア群、アルゴリズムを改良・発展させることで得られる情報と、タンパク質の構造情報のみでは相互作用判定精度が上がらないことが判明し、追加のアルゴリズム開発を行うことが必要となった。
また提案後に、RNA-タンパク質相互作用予測を行うアルゴリズム・ツールが複数出現し、それらの論文では非常に優れた精度を有することが報告されていたため、当該ツールに関して詳細な評価を行う必要が生じた。その結果、既知のRNA-タンパク質相互作用正解データが、非常に少ない、または、偏っているために正しい評価が行われていないことが判明した。これらの作業、および、適切な評価方法に関する検討に当初想定していたよりも時間を要した。最終的には、CLIP-seqなどの実験情報をうまく取り入れながら評価を行う方法が必要と判断し、評価データセットの整備に時間を要した。以上の理由により、研究に若干の遅れが生じている。
その一方で、独自の方法についても、検討を重ね一部良好な結果が得られつつある。また、学術論文等の成果は着実に出ている(成果として報告した出版済みの論文に加えて、現在査読中または準備中の本研究課題に関連する論文が複数存在している)。
以上を総合的に判断して現在までの達成度は「やや遅れている」とした。

今後の研究の推進方策

予定より研究計画に遅れが生じているが、着実に成果は出ているため、以下の項目について研究を順次進めていく予定である。
・正しい評価を行うための、データセット・評価方法の確立(現在までに80%ぐらいの進捗がある)
・RNAの配列情報とタンパク質の構造情報を利用した、高精度なRNA-タンパク質相互作用予測手法の開発(現在までに60%の進捗がある)。この際に、上記情報だけでなく、実験情報等も最大限利用することにより高精度な予測手法の確立を目指す。
・実際に網羅的相互作用予測を行う(予測に利用するデータセットは既に取得・整備済みである)
これらの研究を進める際に、分担研究者・連携研究者間の連携を今まで以上に密接にとることにより、さらなる研究の加速を目指す。また、最終年度であるため、成果に関する対外発表も今まで以上に行う計画である。また、RNA-タンパク質相互作用予測のシステムを世の中に広く公開し、利用をしてもらうことを目指す。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Efficient calculation of exact probability distributions of integer features on RNA secondary structures2014

    • 著者名/発表者名
      Ryota Mori, Michiaki Hamada, Kiyoshi Asai
    • 雑誌名

      BMC Genomics

      巻: 15 ページ: Supplement 10

    • DOI

      10.1186/1471-2164-15-S10-S6

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] CapR: revealing structural specificities of RNA-binding protein target recognition using CLIP-seq data2014

    • 著者名/発表者名
      Tsukasa Fukunaga, Haruka Ozaki, Goro Terai, Kiyoshi Asai, Wataru Iwasaki, Hisanori Kiryu
    • 雑誌名

      Genome biology

      巻: 15 ページ: R16

    • DOI

      doi:10.1186/gb-2014-15-1-r16

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Analysis of base-pairing probabilities of RNA molecules involved in protein-RNA2013

    • 著者名/発表者名
      Junichi Iwakiri, Tomoshi Kameda, Kiyoshi Asai, Michiaki Hamada
    • 雑誌名

      Bioinformatics

      巻: 29 ページ: 2524-2528

    • DOI

      doi:10.1093/bioinformatics/btt453

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Haruka Yonemoto, Kiyoshi Asai, Michiaki Hamada2013

    • 著者名/発表者名
      Haruka Yonemoto, Kiyoshi Asai, Michiaki Hamada
    • 雑誌名

      International journal of molecular sciences

      巻: 14 ページ: 6144-6156

    • DOI

      doi:10.3390/ijms14036144

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Prediction of joint RNA secondary structure by using their homologous sequence information2014

    • 著者名/発表者名
      Takashi Matsuda, Michiaki Hamada and Kiyoshi Asai
    • 学会等名
      GIW/ISCB-Asia 2014
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-12-15 – 2014-12-17
  • [学会発表] 分子動力学計算を用 いた蛋白質・RNA 複合体立体構造予測2014

    • 著者名/発表者名
      由良 敬、岩切 淳一、浜田 道昭、浅井 潔、亀田 倫史
    • 学会等名
      第52回日本生物物理学会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2014-09-25 – 2014-09-27
  • [学会発表] RNA2次構造情報解析のための統合ウェブ2014

    • 著者名/発表者名
      浅井潔、浜田道昭、小野幸輝
    • 学会等名
      第16回日本RNA学会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2014-07-23 – 2014-07-25
  • [学会発表] Credibility Limit は推定二次構造の定量的な信頼度を示す2014

    • 著者名/発表者名
      森 遼太、浜田 道昭、浅井 潔
    • 学会等名
      第16回日本RNA学会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2014-07-23 – 2014-07-25
  • [学会発表] RNA-タンパク質相互作用予測手法の開発2014

    • 著者名/発表者名
      岩切淳一、亀田 倫史、浅井 潔、浜田 道昭
    • 学会等名
      第16回日本RNA学会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2014-07-23 – 2014-07-25
  • [学会発表] 分子動力学計算を用いた蛋白質・RNA 複合体立体構造予測2014

    • 著者名/発表者名
      由良 敬、岩切 淳一、浜田 道昭、浅井 潔、亀田 倫史
    • 学会等名
      第16回日本RNA学会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2014-07-23 – 2014-07-25

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公開日: 2016-06-01  

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