研究課題/領域番号 |
25240048
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
寺野 隆雄 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (20227523)
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研究分担者 |
兼田 敏之 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10192543)
吉田 健一 筑波大学, ビジネス科学研究科(系), 教授 (40344858)
倉橋 節也 筑波大学, ビジネス科学研究科(系), 准教授 (40431663)
津田 和彦 筑波大学, ビジネス科学研究科(系), 教授 (50302378)
高橋 大志 慶應義塾大学, 経営管理研究科, 教授 (60420478)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 参加型シミュレーション / 社会サービス / エージェントベースモデル / 進化計算 / テキストマイニング / 情報発信型データマイニング / サービス科学 / 政策立案支援 |
研究実績の概要 |
本研究では、行政問題や都市開発のように、多種多様な関与者が存在する社会サービス分野を対象に、そのシステムの担当者や設計者、利用者が意思決定に直接的・関節的に参画できるような大規模参加型シミュレーション技術を確立することを目標としている。そのために以下の2点を課題とする。1)社会サービスに必然的に伴うトレードオフ下において創発する現象を表現すること。2)社会サービスの政策立案や制度設計に資すること。平成26年度には、中間的な成果を発表し、本研究を世界的に発信するための活動としてIEEE COMSAC2014においてSSERVというワークショップを主催した。主要な研究成果の概要は、提案時の研究項目にしたがって、以下のようにまとめられる。 1)エージェントに基づく社会シミュレーションモデルの構築手法:市民や組織体の意思決定行動のエージェントシミュレーションを対象分野として、エージェントの行動最適化が図れるようなシミュレーション算法を開発した。 2)エージェントモデルと融合した参加型社会ゲーミング手法:社会サービスに関連する意思決定においては、関与者同士の問題認識と解決策の共有が不可欠である。意思決定当事者による決定支援を目的に参加型社会ゲーミングの基本技術に関する研究を実施した。 3)市民の意思決定行動を測定する情報発信型マイニング手法:社会シミュレーションの結果の信頼性を高めるには、モデルパラメタを整合させる必要がある。このために、膨大なデータに対応しうる高速分析技術を実現し、利用者の情報端末で利用可能な各種データ取得技術の開発を行った。 4)社会サービス意思決定基盤の評価手法:可視性の高い施策立案、評価の網羅性、合意形成への寄与を、意思決定当事者による活性化シナリオの有用性評価として実施する方法を研究した。とくに、ソフトシステム方法論による評価手法に注目した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1)本研究課題における研究計画と昨年度実施した研究内容について、IEEE COMPSAC SSERVワークショップを主催し、発表を行ったこと。これにより、本研究課題の意義が明確になり、さらに、この成果に基づき、平成27年度においてもIEEE COMSAC2015においてもSSERVワークショップを主催することになった。 2)人工知能学会誌、計測自動制御学会誌において、本研究テーマに関連する特集号の発行が予定されていること。 3)PAAAが主催し、インドネシアで9月に開催するAESCS2015国際会議で成果の一部の発表を予定していること。 4)計測自動制御学会社会システム部会、人工知能学会ビジネスインテリジェンス研究会において、本研究課題に関連する発表会が企画されていること。 5)本研究テーマに関連する複数の国際会議で、研究代表者、研究分担者による招待講演が企画されていること。
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今後の研究の推進方策 |
本研究計画には、社会シミュレーション、社会ゲーミング、社会データマイニング、シミュレーションの最適化の4つの側面があり、以下の4つの大項目から構成される。研究開発環境としては、東工大と筑波大の計算グリッドシステム、計算機システムを利用する。また、ネットワーク上の情報端末を利用した実験環境も必要となる。平成27年度以降は、前年度までの研究を継続するとともに、国内外への成果発表と、情報発信を行う。具体的な研究計画は以下のとおりである。 1)市民の回遊行動と意思決定行動のシミュレーションを対象分野として、回遊行動モデルを精緻化し、モデルの行動と実データとの比較検討を行う。 2)社会サービスに関連する意思決定において、複数の関与者の決定を整合的なものにするためには、参加者の問題意識と解決策の共有が不可欠である。可視性の高い合理的意思決定手段の実現を目的に、参加型社会ゲーミングの方法論と支援システムの実現をはかる。 3)社会シミュレーションの結果の説得性を増し、信頼性を獲得するためには、多数のモデルパラメタの整合性をはかり、同時に、感度分析の手法を提供する必要がある。このため、膨大なシミュレーション結果を処理しうる高速分析技術を開発する。同時に、市民行動の意図を正しく分析する目的で、利用者の情報端末の利用を想定した各種のデータ取得分析技術を開発する。 4)社会サービス意思決定における施策立案、評価の網羅性、合意形成への寄与を、意思決定担当者による活性化シナリオとして客観的に評価する方法を研究する。 以上のもとに、国内外の関連学会に参画するとともに、7月に台湾で開催されるCOMPSAC 2015 SSERV、7月に欧州で開催されるKES/AMSTA、9月にインドネシアで開催されるAESCSにて企画セッションを主催する。また、計測自動制御学会・人工知能学会で、特集号を企画し成果の情報発信を行う。
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