研究課題/領域番号 |
25240052
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
近藤 成一 東京大学, 史料編纂所, 教授 (90153717)
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研究分担者 |
柳原 敏昭 東北大学, 文学研究科, 教授 (30230270)
本多 博之 広島大学, 文学研究科, 教授 (30268669)
遠藤 基郎 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (40251475)
海老澤 衷 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60194015)
稲葉 伸道 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (70135276)
高橋 敏子 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (80151520)
渡邉 正男 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (80230994)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 協調作業環境 / 古文書 / 釈文 / 中世 / 史料 / 史料編纂所 / 大日本古文書 / 鎌倉遺文 |
研究概要 |
「未刊古文書釈文ヴァーチャルラボラトリ」システム開発の要件定義を行った。 協調作業環境において未刊古文書の釈文を作成するための前提として、対象となる古文書について既刊分・未刊分を振り分け、それを明示する必要がある。その準備作業として、1600年以前の古文書を網羅することを目標としている「日本古文書ユニオンカタログ」のデータを拡充し、同一文書について媒体を異にするデータの統合作業を進めて、刊本を媒体とするデータと統合されているものを既刊、統合されていないものを未刊として仮に振り分けることを試みた。また東寺文書と東大寺文書については特に精度を上げて、様々な媒体によるデータの拡充と統合につとめた。 釈文を作成するときに、対象である古文書の画像を同一ないしは並列するモニターで熟覧することができれば便利である。たまたま本年度、京都府立総合資料館から同館所蔵「東寺百合文書」カラー画像の公開が始まったので、同館とデータベースの連携を進めることで協力を始めた。「日本古文書ユニオンカタログ」から京都府立総合資料館提供の画像にリンクするのと、逆に京都府立総合資料館提供のデータベースから史料編纂所のユニオンカタログ上の該当データにリンクするのと両方を実現するために、ユニオンカタログにAPI機能を開発し、実装した。 釈文においては割書きなどの2次元的性格を再現するためにLaTeXの利用を試み、素人でも簡便にLaTeXを利用できるスタイルシートを試作し、西大寺文書について、これを利用して釈文を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2014年度から開発を進める「未刊古文書釈文ヴァーチャルラボラトリ」の要件定義を予定通りに行えた。 釈文作成のために参考とすべき対象古文書の画像閲覧について、京都府立総合資料館提供の「東寺百合文書」画像データと連携する道筋がつけられた。 釈文作成のためのLaTeXによるスタイルシートを試作し、釈文入力環境、釈文提示形式を具体化する手がかりがつかめた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の要件定義にもとづき、「未刊古文書釈文ヴァーチャルラボラトリ」のシステム開発を順次進める。 東大寺文書・東寺文書・西大寺文書について原本・写真帳・影写本・刊本等々の諸媒体に掲載された情報を網羅するとともにその統合の完成度を上げ、既刊分・未刊分についての精度の高いリストを作成する。またこれらをモデルケースとして、1600年以前の古文書全体について、既刊分と未刊分を切り分ける方法について検討する。 東寺文書については、京都府立総合資料館が提供を始めた「東寺百合文書」画像データとのリンクを完成させる。 西大寺文書についての釈文作成をLaTeXにより進めながら、スタイルシートの改善に努め、協調作業環境におけるより簡便な入力方法を工夫する。また「未刊古文書釈文ヴァーチャルラボラトリ」に入力された釈文をLaTeXスタイルシートに適用し、LaTeX組版により生成された釈文pdfを提示する方法を検討する。 上記により、未刊古文書リストの提示から釈文の入力、さらにLaTeX組版による2次元釈文の提示までの過程を結合した「未刊古文書釈文ヴァーチャルラボラトリ」を構築し、運用実験を行う。 東大寺文書・東寺文書・西大寺文書について原本・写真帳・影写本・刊本等々の諸媒体に掲載された情報を網羅するとともにその統合の完成度を上げ、既刊分・未刊分についての精度の高いリストを作成する。またそれに範をとり、1600年以前の古文書全体にその方法の適用を試みる。
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