研究課題/領域番号 |
25240057
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
廣瀬 通孝 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (40156716)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | デジタルミュージアム / 拡張現実感 / 行動誘発 / 視覚誘導性身体運動 / 追体験 / イメージベースドレンダリング |
研究概要 |
本研究の目的は,拡張現実感(AR)を用いて史料映像を展示物に重畳表示する際に,カメラマンの動きを再現するように体験者を誘導することによって,より強烈な体験を与えることのできる新しいAR展示技術「行動誘発型AR」を開発し,受動的に展示物を眺めるだけの既存展示手法では伝えられなかった空間的状況を容易に把握可能とすることである.そのために,(1)史料映像から動的な3次元空間とカメラパスを抽出・再構成する画像処理技術,(2)ARで提示する視覚刺激を用いて視覚誘導性の身体運動を生じさせ,体験者の鑑賞行動を誘導するヒューマンインタフェース技術の開発に取り組む.さらに,博物館と協力し,(3)こうした先端的なインタラクティブ映像技術が一般来館者にどの程度受け入れられるかを,大規模実証実験により検証する. 本年度は,(1)史料映像に記録された時空間・カメラワークの抽出と追体験コンテンツの生成として,Self similarity特徴量を利用することで,同地点における現在と過去の映像など撮影条件の大きく異なる画像の位置合わせを可能にする手法を構築し,空間の対応付け作業の効率改善および推定精度の向上を実現した.また,(2)視覚誘導性身体運動を利用して体験者の鑑賞行動を誘導する「行動誘発型AR」の実現では,並進運動を誘発可能な視覚刺激の設計を検討し,複数地点において対応付いた全天周画像が表示されるAR空間を利用して,それらを用いた行動誘発が可能かを検証した.その結果,画面の明度を変化させることでコンテンツのない方向への並進移動を抑制する行動誘発手法の有効性が示された.一方で特定方向への並進移動を誘発する手法については強い効果が見られなかったため,引き続き検討をおこなう.また,(3)博物館における運用を通した実践と評価として,「万世橋・交通博物館 思い出のぞき窓」アプリを一般公開し,時空間アーカイブのAR展示をおこなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り順調に研究が進展しているため
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今後の研究の推進方策 |
これまでに追体験コンテンツ生成手法,体験者の鑑賞行動を誘導する行動誘発手法に関して,順調に成果が得られており,またミュージアムでの実展示応用に向けたコンテンツの構築等も順調におこなわれているため,引き続き同じ体制で研究を推進し,目的の達成を目指す.
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