研究課題/領域番号 |
25241007
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
北川 浩之 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (00234245)
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研究分担者 |
中村 俊夫 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 教授 (10135387)
南 雅代 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 准教授 (90324392)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 炭素14年代きゃやりブレーション / 国際陸上科学掘削計画 / 死海 / 堆積物 / 加速器質量分析法 / 国際研究者交流 |
研究実績の概要 |
炭素14年代から暦上の年代に較正するためには、炭素14年代キャリブレーションデータセットが必要となる。過去5万年間に関しての陸域試料の炭素14年代測定値を暦上の年代に較正する炭素14年代キャリブレーションデータは、福井県水月湖の年縞堆積物から得られている。本研究では、このデータセットの信頼性の検証、炭素14年代キャリブレーションデータの精度の向上を目的としている。 国際陸上科学掘削計画(ICDP)の死海深層掘削プロジェクトで採集された堆積物コアの堆積学的な観察実験、コア高解像写真の解析、複数コアの比較検討を行うとともに、上部150メートル掘削コアの有機物試料(陸上植物の枝や葉)の炭素14年代測定を行い、死海中央部の堆積プロファイルの年代-深度モデルを確立した(ICDP死海深層掘削プロジェクトEin Gedi 2ndワークショップで発表)。さらに、掘削コアに含まれる炭酸塩(湖水から沈殿したアラゴナイト)の炭素14年代測定結果の外来炭素の混入の影響を補正する方法を理論的な考察をもとに考案しその方法の有効性を評価する基礎実験を行った。本方法は、風声塵に含まれる炭酸塩の混入による堆積物コア中の炭酸塩の炭素14年代シフトを地球化学的な指標(風声塵に特有に含まれる元素)を用いて正しく補正するという新たな試みである。現在、掘削コアに含まれる炭酸塩のウラン系列年代測定が死海深層掘削プロジェクトに参画するアメリカ・イスラエルの共同研究者が中心となり実施されている。死海掘削コアの有機物及び炭酸塩(外来炭素の補正後)とウラン系列年代測定を比較検討することで、過去5万年間の炭素14年代キャリブレーションデータの整備作業を進めている。共同研究者と議論を重ね、死海掘削コアからの炭素14年代キャリブレーションデータの信頼性(不確さ)を明確にして、データ公表を計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では、本年度中にすべての炭素14年代測定を完了する予定であったが、本研究を格段に進めるために、外来炭素の混入の影響を補正する方法の考案及びその基礎実験を行ったため、測定件数が予定より増え、未測定の試料、再測定が必要な試料が残っている。その他、国際陸上科学掘削計画(ICDP)の死海深層掘削プロジェクトへの参加者等との密な研究交流が進み、当初予定していた以上の研究成果が得られる可能性がでてきた。
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今後の研究の推進方策 |
死海掘削堆積物コアのアラゴナイト(炭酸塩)の炭素14年代測定を高い時間分解能で実施する。本研究で開発した外来炭素の混入の影響を補正する方法を用いて、高い時間分解能の掘削コアの年代―深度モデルを作成するとともに、ウラン系列年代(暦上の年代)と炭素14年代測定結果を比較することで、陸域試料の炭素14年代キャリブレーションデータデータを検証するデータセットを整備する。また、本研究で構築された年代―深度モデルをもとに、国際陸上科学掘削計画(ICDP)の死海深層掘削プロジェクトで採集された堆積物コアから得られた各種データを融合する。
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