研究実績の概要 |
本年度は、国際陸上科学掘削計画(ICDP)死海深層掘削プロジェクト(DSDDP, Dead Sea Deep Drilling Project)に参加している研究者と連携して、死海北湖中央部(掘削地点ICDP5017-1、水深293 m)で採集したコア総コア長456m堆積物試料及び湖岸部Ein Gedi沖(掘削地点ICDP5017-3)で採集した総コア長344mの堆積物コアの高画像解析・実際のコア観察を重点的に行い、各コアのコンポジット・プロファイルを作成、共同研究者とその信頼性を検討した(ドイツ・ブレーメンで主要研究者と意見交換及び関係者とメイルでの意見交換を実施)。その結果、複数も掘削穴から採集された堆積物を関係づけることが可能となった。ICDP5017-1に関しては、堆積物中に含まれていた植物遺体の処理後のFTIRスペクトル(一部、NMRスペクトルを取得)し、炭素14年代測定前の化学処理や試料の堆積後の保存性について検討し、約150試料の炭素14年代測定結果から信頼できるデータを選別した。加速器質量分析法で得られた「信頼できる」炭素14年代を有効に利用し深度―年代モデルを構築した(Kitagawa et al., 2016)。その結果をもとに、ICDP-DSDDPに参画する国内外の研究者が利用できるICDP5017-1からの堆積物の共通年代編年が確立された。同時に、ICDP5017-1同様の方法をICDP5017-3に適用した編年作業を行ったが、不完全な堆積物採集等、頻繁に引き起こされたイベントによる堆積物のかく乱などで、正しい編年の構築は容易でなく、堆積学的な観点での検討が必要であることが明確になった。
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