活性汚泥中において、硝化および脱窒を担っている細菌(群)を以下に示す新規SIP-D(Stable Isotope Probing-D)法を用いて特定する。この手法を用いることで、効果が確認されたシグナルによる硝化および脱窒菌の活性化の(活性汚泥中での)挙動が解析可能となる。 具体的には、異化代謝基質をNH4Cl、炭素源を13C-NaHCO3を加えることで、活性汚泥中でのそれぞれ硝化菌(群)また脱窒菌(群)の挙動を解析した。 その結果、活性汚泥から全DNAを抽出し、13C-DNA画分と12C-DNA画分の取得分離に成功した。さらに、それらについてPCR-DGGE法により、シグナル添加による微生物叢に違いがあることが示された。具体的には、アンモニアの添加により、炭酸固定を介した13Cの取り込みがある微生物群集の存在が確認出来た。水処理の窒素除去において最も重要な働きをする硝化菌は、アンモニアを取り込み酸化することでエネルギー生産を行い生育に必至な代謝、特に炭素源の炭酸固定を行う。つまり、上記のアンモニアの添加時に13Cの取り込みを行った細菌群は硝化菌であることが予想される。本結果は、群集中のアンモニアの代謝にかかわる硝化菌(群)について、経時的に機能を検証しつつ同定出来ることを示した非常に重要なものである。現在、PCR-DGGE解析結果をさらに詳細にシークエンス解析に進めることで、硝化菌の裏付けおよび種の同定を明らかにしつつある。
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