研究概要 |
研究代表者らは、富栄養化した淡水湖沼(北浦)において、年間を通じて脱窒活性と同程度の著しく高い嫌気性アンモニア酸化(anammox)活性を示す特異点を見出し(Yoshinaga et al., 2011)、anammoxを含む窒素循環システムが淡水湖沼で成立していることを示した。本研究では、、anammoxが存在する地点としない地点対象での窒素循環を構成する個々の代謝プロセス(硝化,脱窒,anammoxなど)を、それぞれに関与する遺伝子群とその担い手の多様性として特徴づけ(分担者(高見)が開発した代謝機能に注目したメタゲノムの最新解析技法を用いて)、北浦におけるanammoxと他の窒素代謝プロセスとの相互作用を明らかにする。 2013年度(初年度)は「課題1;環境試料の採取と活性測定」を中心に実施した。2013年7月、北浦のanammox特異点(KU3)、anammox活性が検出されない地点を(KU6)、およびanammoxがより低い中間地点(KU4)からコアサンプラーを用いて底泥試料を採取した。、各コア試料の表層(0~2 cm)を、またKU4については、18~22 cmを切り出した(合計4試料)。各試料について、硝化、脱窒およびanammoxの潜在活性を測定し、全群衆DNAを抽出した。また、間隙水中のNH4+, NO2-, NO3-, SO42-, TOCを定量した。15N-トレーサー法でannomox活性を測定した結果、これまでの調査結果と同様に、KU3では高いanammox活性が検出され、KU6でのanammox活性は検出限界以下であった。KU4では弱い活性が検出された。また、いずれの試料でも硝化活性が検出された。 これらの試料中から抽出された群衆DNAを対象に、16SrDNAを対象にクローン解析法を行い、微生物群衆構造を推定した。 環境メタゲノム解析にも着手した。
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