研究課題/領域番号 |
25241030
|
研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
李 秀ちょる 名城大学, 経済学部, 教授 (10329683)
|
研究分担者 |
陳 禮俊 山口大学, 経済学部, 教授 (00314790)
羅 星仁 広島修道大学, 人間環境学部, 教授 (00342311)
朴 勝俊 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (00351263)
植田 和弘 京都大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (20144397)
川勝 健志 京都府立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20411118)
李 態妍 龍谷大学, 経済学部, 教授 (30316153)
吉田 央 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40251590)
藤川 清史 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (60190013)
知足 章宏 立命館大学, 国際関係学部, その他 (90525156)
松本 健一 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教 (00534570)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 環境税改革 / 炭素税 / TPP / E3ME-Asia計量モデル / 東アジア政策協調 |
研究実績の概要 |
本年度は、第1に「環境と経済の両立を目指した環境税制改革」に関する研究を行った。東アジア諸国の経済発展段階や政治状況を考慮した望ましい環境税制改革(ETR)の提案である。東アジア各国の税制の現状を踏まえ、二重の配当が効果的に保障される改革案を提示した。その際、ETRが自国および他国に与える経済的・環境的影響について昨年度にケンブリッジエコノメトリックスと共同で開発したE3ME-ASIA計量モデルを活用して定量的な評価を行った。たとえば、税収を法人税や所得税などの減税を通じて経済に還元する税収還元(tax recycling)に関して、環境と経済を両立させる最適な方法を日本・中国・韓国・台湾の各国別に提案した。 第2に「日中韓FTAおよびTPPの経済・環境影響評価」を行った。東アジアにおけるFTAおよびTPP参加が自国や他国の経済(GDP、雇用など)と環境(CO2、有害汚染物質など)に及ぼす影響を定量的に評価した。それに基づき、この種の経済協定による経済活性化がもたらす温室効果ガス排出量の増加と、それを相殺するためのエネルギー・環境関連制度改革、政策協調のあり方について、その方向性を明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の分析手法である、E3ME-Asiaマクロ計量モデルの構築が、予想より半年以上に早いスピードで行われ(研究会メンバーの1人が、約5ヶ月間ケンブリッジエコノメトリックスにインターン派遣などにより)、本研究の主な目的である東アジアでの望ましいエネルギーシステム分析、環境税制改革の効果分析が早期着手可能であったためである。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度末までに、本研究のテーマの3本柱とも言える「東アジアにおけるエネルギー利用の持続可能性と安全性」、「環境と経済の両立を目指した環境税制改革」、「日中韓FTAおよびTPPの経済・環境影響評価」に関する研究が一定の成果を収めることができ(論文作成、国内外学会報告、本の章の書き下ろしなどにより)、今後は、これらの成果をまとめ、一本の本として公刊を進めている。公刊の予定の出版社は、世界的なメジャー出版社であるROUTLEDGEであり、編集者との本の構成についても合意を得ている。この本では、東アジア諸国におけるエネルギーの需要・供給面に関わる政策と政策協調の必要性、特に原子力推進・撤退政策、再生可能エネルギー普及政策、自由貿易の流れの中で経済発展と環境保全が同時に図れる政策に関する知見が含められている。
以上の研究を踏まえ、持続可能な低炭素経済に向けた各国のエネルギー・環境関連制度改革の成果と課題を明らかにし、低炭素経済への移行と経済活性化の両立を目指した持続可能な改革の具体案を提示し、東アジア域内における政策協調のあり方について提言する
|