研究課題/領域番号 |
25242004
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
源田 悦夫 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (10161829)
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研究分担者 |
須長 正治 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 准教授 (60294998)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | コンテンツ教育 / 造形方法 / 論理的思考 / コンピューターグラフィックス / デジタルイメージ |
研究概要 |
デジタルイメージ創成の分野において論理的思考に基づく芸術的感性の育成の方法としてCGI(Computer Generated Image)による表現過程をとりあげ、対象の観察や分析を通して生成アルゴリズムを考察すると共に、芸術的な感性を生かしたイメージ制作過程を通じて、クリエータの具備すべき能力について考察した。ここでは、コンピュータイメージ創成の過程において、具備すべき数理的能力や造形能力ついて、標準的課題を設定しながらこれらの要素について抽出した。 本年度は標準課題の検討として、デザイン系大学におけるコンピュータグラフィックス関連の演習授業において試験的な標準課題を実施し、論理的思考に基づく芸術的感性の育成における問題点の抽出を行った。 また、海外におけるコンピュータイメージ創成分野の情報収集のため、世界最大のCG関連学会であるSIGGRAPHでの調査や、国内外でのデザイン関連教育機関での状況についての当該分野の教育実態についての調査を行った。加えて高等教育の前提となる小学生、中学生を対象としたコンピュータ教育における、デジタルイメージを通した感性教育の実態把握のために、1000点以上のコンペティション応募作品の調査を通して、制作技法の検討や、ハード、ソフトウエアの使用傾向等について分析を行なった。 これらの調査分析を通して総合的に感じられることは、わが国のデジタルイメージ教育において、豊かな心的イメージの展開と共に、造形手順の明確化や数理的なリテラシーの圧倒的な欠如が見られた。デジタル時代に対応できる芸術的感性の必要性は今後の感性教育には重要であり具体的なカリキュラムや課題の提示の必要性を感じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
この研究は、サイバーフィジカルな時代における芸術的感性の育成について研究するものであり、本年度の研究においては、コンテンツ表現教育の方法論を検討する上で以下の観点をあげ全体の計画を進める。(1)デジタルイメージ創成を取り巻く要素の抽出およびクリエータの具備すべき能力の分析、(2)手続き的造形(アルゴリズム)を基盤とした表現教育の教材化及び教育効果の実証、感性教育を中心とした従来の方法との比較検討、を挙げている。本年度は標準演習課題例を設定しデジタルイメージ表現においてクリエータの具備すべきスキルの項目抽出を中心に検討を進めた。 ここで取り上げた「自然の造形」をテーマとした標準演習課題では、自然観察を通したデザイン手法を論理的な視点で捉えて学ぶことが重要であり、講義においては、自然の中に潜む数理的造形についての基礎知識を提供し、対象の観察として対象の描画や統計的分析、構造的分析等を通して植物の造形的特徴抽出を行った。造形的特徴をさらにコンピュータが理解できるような手続き的な記述に置き換え、プログラムや3DCGソフトウェアによる作品制作を実施した。加えて発想の展開からアルゴリズム形成に至るデジタル教育用写真素材集「観察から表現へ(DVD版)」の具体的な準備を行った。 本年度の成果として、制作のための実験的ないくつかの標準課題プログラムを設定しデザイン系大学3年次の授業を対象に使用を行った。この結果、デジタルイメージ創成を通した芸術的感性の育成においては、手続き的な思考プロセスの明確化や観察力の欠如等が問題点として挙げられた。また、コンペティション応募作品の調査事例を通して、論理的思考の欠如は小中高等学校からの美術教育や情報教育にも根本的な問題があることがわかった。 以上の本年度の成果を踏まえ、「当初の計画以上に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
「デジタルイメージ創成を通した論理的思考に基づく芸術的感性の育成」では、今後の研究の推進方策として(1)コンテンツ創成に必要なスキルを把握するためカリキュラムの内容及び教授手法の分析としてデジタルコンテンツ表現教育を行う主要な美術・デザイン関連教育機関に対するカリキュラム及び具体的な実習内容の収集と分析を行う。実験方法としてアンケート及び関係教育者への直接インタビュー調査による関連項目の抽出分類すると共にスキル評価方法についての問題点を検討する、(2)手続き指定的造形プログラムの開発を行い、設定課題におけるデジタルイメージの創成プロセスを、対象の観察と分析、造形の手続き、表現の方法の検討といった一連のデジタルイメージ創成に至る過程を明確にすると共に、実際の授業を踏まえて設定課題の問題点を検討する。25年度においては、準備段階として開発した演習プログラムの評価を行い、26年度以降において、調査検討の結果を踏まえて、能力別の演習ブログラムを開発し評価検討を行う。調査の手法については、演習プログラムの実践を教育機関で教育側、被養成者、関連専門家の意見を聴取し問題点を抽出して問題項目を明らかにし、コンペティションや検定試験を通した効果の検証を行う。 また演習の効果の測定として制作したプログラムを基に、授業に実際に使用したフィールドワークによる調査、海外を含むインタビュー調査をもとに教育における問題点を抽出する。さらに、美大系学生、芸術工学系学生、工学部系学生、専門学校等の異なった基盤で育成されているコンテンツ関連人材に対しても実施しその特徴を比較することにより、教育すべき内容や教育方法について検討する。これらの結果を反映しながら、高次のクリエータの具備すべき能力について提案する。
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