研究課題/領域番号 |
25242018
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
藤木 卓 長崎大学, 教育学部, 教授 (00218992)
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研究分担者 |
寺嶋 浩介 大阪教育大学, 大学院連合教職実践研究科, 准教授 (30367932)
織田 芳人 長崎大学, 教育学部, 教授 (40160874)
小清水 貴子 静岡大学, 教育学部, 准教授 (70452852)
倉田 伸 長崎大学, 教育学部, 准教授 (80713205)
瀬戸崎 典夫 長崎大学, 教育学部, 准教授 (70586635)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 教授学習支援システム / 逆拡張現実感 / 平和学習 / 原爆 / ディジタル教科書 / 研修プログラム / 3D鑑賞 |
研究実績の概要 |
本研究課題では,被爆の事実を実感させるために,逆拡張現実感を用いて体験し伝え共有する活動による平和学習を実現する。そのために,(1)逆拡張現実感による学習環境,(2)ディジタル教科書,(3)指導者用研修プログラム,(4)作品の3D 鑑賞システムを開発・評価し,これらを活用した学習効果の検証を行うことが目的である。 平成26年度は,逆拡張現実感による学習環境の開発(目的1)では,25年度に開発した仮想現実感(VR)環境について,現実空間での被爆遺構探索軌跡や探索時の写真等をVR空間に重畳表示可能な追加機能を開発した。これにより,長崎の特徴である現実の被爆遺構の探索と,その学習結果をVR空間で振り返り可能となる。また,逆拡張現実感環境内において,平和に関するメッセージ等を表示させる3D鑑賞システム(目的4)については,メッセージカードの色と形に関して,小中学生に質問紙調査を行い,小学校の高学年以上では「ハト」の形で「白」が好まれることが明らかになった。 平和学習ディジタル教科書の開発(目的2)については,対象は小学校高学年生から中学生とし,爆心地付近でタブレット端末による過去の爆心地周辺写真の閲覧が可能となるツールを試験的に開発するとともに,そのようなツールを含みフィールドワークに使用可能なタイプのディジタル教科書とすること等を検討した。また,平和学習指導者用研修プログラム開発(目的3)については,各地の博物館等での展示方法や平和関係展示等の調査を行い,児童生徒対象の平和学習指導者用研修プログラムには,研修効果に関するカークパトリック理論のレベル適用の範囲や限度等について研究討論を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の開発予定について,研究目的1の逆拡張現実感(VR)環境の開発は,予定通り現実空間探索軌跡等をVR空間に重畳表示する機能追加が完了している。研究目的4の平和メッセージの仮想空間内3D鑑賞システム構築の開発は,メッセージカードの形と色を児童生徒への質問紙調査から明らかにした。研究目的2の平和学習ディジタル教科書開発と,研究目的3の研修プログラム開発については,試作ツールの開発や,研修プログラム開発の基本的考え方の整理等,開発に向けた事前検討が順調に進んだ。さらに,研究に関する情報発信のためのWebページを開発した。 以上のことから,「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
研究目的1(平和に関する逆拡張現実感環境の開発と評価):平成26年度までに開発したVR学習環境に付加する形で,被爆語り部による語りの音声記録を活用したVR空間での平和学習を可能にする学習コンテンツの作りこみを行う。この学習コンテンツは,待機中のデモ画面としても使用可能とする予定である。 研究目的2(平和学習のディジタル教科書の開発と評価):逆拡張現実感環境と連携した学習を可能とする,タブレット端末を用いたフィールドワークでの学習を想定したディジタル教科書を開発する。 研究目的3(平和学習指導者用研修プログラムの開発と評価):ディジタル教科書開発に連動する形で,ディジタル教科書での学習とVR学習環境での振り返り学習等を盛り込んだ平和に関する学習を指導可能な,指導者用の研修プログラムの具体化を進める。 研究目的4(平和に関する作品の3D鑑賞システムの開発と評価):逆拡張現実感環境内での提示方法の検討結果をもとに,VR環境への組み込みを実現する。
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