研究課題
基盤研究(A)
本研究は,最先端のマルチビーム測深を用いて作成する精密海底地形図を基に,これまでの知見がきわめて少なかった浅海底の地形とその形成について議論を行い,従来の地形学にない「浅海底地形学」を開拓するための端緒となる研究を目指している。研究初年度である25年度は,まず,現有のマルチビーム測深機(Sonic 2022)にサイドスキャンソナー・オプション(TruePix)を装備し,底質情報を得ることができるよう改造を行った。これを用いて9月に沖縄島南東部の南城市沿岸域にてマルチビーム測深調査を行った。さらに,我々の研究グループで発見した石垣島・名蔵湾の沈水カルスト地形の地質構造とその成り立ちを解明するため,11月に当該海域にてボーリングを実施し,60mの掘進とコア採取を行った。コアについてはX線回折装置を用いた鉱物分析から実施している。また,以前実施した喜界島の測深海域について,作成した海底の精密三次元図を基にしてSCUBA潜水を行い,海底地形調査を実施した。さらに,本研究では作成した精密三次元海底地形図を利用して自然科学から社会・文化科学の領域にわたる学際研究へと発展させることを目指しているが,その一部として,石垣島沿岸域で作成した精密三次元海底地形図と当該海域における水中考古学調査をあわせて成果を出すよう,研究を進めている。
2: おおむね順調に進展している
ワイドバンドマルチビーム測深機を用いた浅海底地形の三次元マッピングが学会等で注目される成果を上げている。25年度の測深調査は相次ぐ台風の影響で,当初予定した海域の全てを実施することはできなかったが,研究計画遂行上必要な海域のデータは取得することができた。また,名蔵湾での海上ボーリング調査も成功し,海底地形の成り立ちを明らかにする準備も着実に整ってきた。
マルチビーム測深が順調に進んでいるため,沖縄島北部にて調査地域を設定して測深を行う予定である。また,石垣島・名蔵湾にて採取したボーリングコアの解析をはじめとした試料分析も並行して進めていく予定である。我々が作成している精密三次元海底地形図は,その上に載せる情報を質・量ともに充実させることによって,これまでにない科学的成果をあげることが可能である。今後は,測深調査とあわせて,海底地形調査・試料採取・水質調査・人文科学的調査など広範な分野にわたる現地調査を充実させる方向で研究を推進させたい。
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Plos One
巻: 9(2) ページ: e88790, 1-16
10.1371/journal.pone.0088790
国士舘大学地理学報告
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